キングジムのポメラをご存知ですか?
ポケット・メモ・ライター
白黒の液晶画面に、折りたたみのキーボードがついた
メモ専用電子文具です。
ネットにはつながりません。
2008年11月発売時、27,300円
一瞬にして、
「オレ買わないな」
と判断できる文房具です。
ネットで検索しても、
「誰が買うの?」という声ばかり。
それもそのはず。
企画当初から
誰にでも買ってもらうつもりは
まったくないのです。
1億人のうちの10万人、
これが当初からの企画ターゲットです。
0.1%の人に買ってもらえばよい。
大手の文具メーカーでは通らない企画です。
初年度の目標3万台、
ところが結果は12万台の大ヒット。
2011年までに20万台以上を売り上げました。
キングジムの主力商品はテプラです。
バブル末期の製品で、大手メーカーが
軒並み参入してきたにもかかわらず、
現在でもトップシェアです。
主に法人が顧客でしたが、
リーマンショック前後から、
業績が20%ダウンしました。
キングジムは近年、
一般消費者向けの文具市場に力を入れています。
電子メモをXY軸、
軽い⇔重い
速い⇔遅い
パソコン:重いけど速く打てる
スマホ:軽いけどタイピング遅い(おじさんには)
ポメラ:軽くて、速く打てる
ポジションをとりました。しかし、このポジションには、
紙:軽くて、速く書ける
という強敵がいます。しかし、電子辞書にはそもそも、
そのままパソコンで編集できる。
というベネフィットがあるので、そのベネフィットを求める人々が
ターゲットということになります。
ベネフィットについては、
別稿で詳しく。
まとめると、
ターゲット:
キーボードが速く打てるビジネスマン。
メモをよく取る。
出先や会議にパソコンは持って行きたくない。
メモをすぐに文書として利用したい。
ここまで絞ってもいいのか、
というくらい、
ターゲットが絞り込まれています。
ここまでターゲットを絞り込めたからこそ、
コスト
機能
流通
販促
商品化が成立したのです。
さて、2012年、2013年の販売データが
ありません。
どうやら高機能化して売上を落としたようです。
常に変わる環境に合わせて、
ポジショニングは、変えていく
必要があります。
スマートフォンが急激に一般的になった今、
ワイヤレスの折りたたみキーボードも、
各社取り揃えてきました。
ポメラの現在のポジショニングは、
すでに隙間ではなくなってしまったように思えます。
ポジショニングは一度作って、終わりではないのです。