4月7日、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼CEOが退任の会見をしました。驚きました!「経営」という視点で、いろいろな切り取り方のできる、たいへん貴重な臨場感のある題材です。
会見の模様は、こちら↓で全文読むことができます。
私が特に注目したのは次の2点です。
1.鈴木会長が社長の資質として、改革を主導することを特に重視している点
2.オーナーの影響力
まず、1.について。
鈴木会長(CEO)は、自ら指名し7年間社長(COO)を努めてきたセブン-イレブンの井阪社長を退任させる人事案を指名・報酬委員会に提案しました。退任させる最大の理由は、「井阪社長から改革案が出なかったこと」と鈴木会長は語りました。
それに対して社長退任の反対意見は、「5期連続で最高益を更新させた社長を辞めさせるのは世間の常識が許さない」という1点でした。
確かに結果だけ見ると、なぜ社長が辞任しなければならないのか理解に苦しみますが、「本当に会社を経営したのは誰か」は当事者が一番よく知っていることです。井阪社長は「全部一人でやってきた」と主張しているようですが、会見の内容を見る限りセブン-イレブンの経営方針はずっと鈴木会長が出してきた、というのは大袈裟ではなさそうです。
事実がどうあれ、鈴木会長が「改革案を出せるかどうか」に経営者としての資質を求めていることは確かです。ほとんど改革案を出せなかった井阪社長に次のセブンイレブンを託すことはできないというのが鈴木会長の決断です。
セブン-イレブンは鈴木会長の改革、改革の連続で、日本断トツナンバーワンの売上と収益率を誇るコンビニに成長しました。現状、これほどうまくいっている会社でさえ、鈴木会長はさらに「改革」を求めているということに、「経営」というものの厳しさを感じます。
10年ごとに7回の改革、脱皮を繰り返し成長した岡本硝子。
多品種少ロット生産に舵を切ったアースダンボール。
直販のみに転換してオンリーワンになった熊倉硝子工芸
井深大のぶっ飛んだ改革案に乗りきれなかったソニー
などなど、これまで様々な改革を成し遂げた事例を取り上げてきましたが、長く続いている輝きのある企業は改革を厭わなかった企業です。
鈴木会長の徹底した改革へのこだわりに、学ぶことは多いです。
2.オーナーの影響力については次回。
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