ガリガリ君の値上げCMが大反響、赤城乳業の好感度がアップしています。このCMには、赤城乳業の極めて重要な意図が隠されています。

ガリガリ君値上げでも遊びましょ
4月1日からガリガリ君が10円値上げになりました。 値上げは企業としてはお客様にちょっと言い難いメッセージではあります。ところが、 「あそびましょ。AKAGI」 をコーポレートスローガンに掲げている赤城乳業は、値上げさえも「あそび」に…

CMでは、いきなり赤城乳業のトップ、ガリガリ君の父ともいうべき井上秀樹氏の顔のアップからはじまります。値上げというテーマのせいか、ニコニコしたところは微塵もなく、神妙な顔をしています。

カメラはゆっくりズームアウトして、両隣の人物の顔が見え始めます。右側の人物が、井上秀樹氏の長男井上創太氏、4月1日から赤城乳業新社長に就任しました。

赤城乳業会長社長

つまりこのCMは、「25年間 踏ん張りましたが、60→70」という顧客向けのメッセージが表にあって、その裏には、「赤城乳業経営継承のお披露目」という意図がありました。

1979年、第二次オイルショックで高騰したコストに耐え切れず赤城乳業は主力商品「赤城しぐれ」を30円から50円に値上げしました。ところが、大手メーカーは予想に反して価格を維持。売上は落ち込み赤城乳業は創業以来最大の経営危機に見舞われます。このピンチを打開したのが、当時専務取締役開発本部長だった井上秀樹氏であり、そこから生まれた新商品が「ガリガリ君」でした。

井上秀樹氏は29年前に2代目社長に就任。そして2016年3月31日の株主総会後会長に、長男の井上創太氏が常務取締役開発本部長から3代目社長に正式決定しました。

値上げCMが流れた2016年4月1日は、赤城乳業にとって「値上げ」に対する経営の覚悟を決める日でもあったわけです。