サンフランシスコ出身のシンガー、
クリス・ハートは、
外国人が日本語で歌う、
のどじまん番組で優勝して、
注目されました。
翌日にはプロデューサーから声がかかり、
この5月CDデビューを果たしました。
出典:Heart Song
彼の奥さんは大阪生まれの日本人。
彼女は、クリスとは逆に、
英語のシンガーとして勝負をしています。
奥さんへのインタビューで、
「だんなさんと逆なら楽でしたよね?」
と聞かれて、
「それじゃあ、面白くないんじゃない」
と答えていました。
クリスよりうまいシンガーは、
サンフランシスコに、ごまんといるでしょう。
彼が勝てる場所、日本という場所で、
日本語で勝負しているからこそ、
クリス・ハートは注目されるのです。
とはいえ最終的にクリスが、
日本市場で受け入れられる決め手は、
4PのPや、ターゲティングやポジショニング
といった、マーケティング戦略ではなく、
クリスが心底、日本が好き。
ということに尽きます。
中学生の時、
2週間の茨城県つくばにホームステイ。
それ以来、彼は毎日、日本や日本語に触れ、
大学で日本語と音楽を専攻。
日本にかかわる仕事をいくつも
経験して、満を持して日本へ移住。
自販機の営業をしながら、
J-POPカバーやオリジナルをYouTubeに
アップし続けました。
それがテレビ局のスタッフの目にとまったのです。
これだけの情熱をそそげる人、
努力できる人が、どれくらいいるか?
ごまんといるのです!
AKB,芸人、サッカー選手、
注目されている人の影には、
ピラミッド状に何万人もの
深く広大な層があります。
最後の決定打は、情熱かもしれません。
しかし、まず勝負させてもらうためには、
マーケティングの4P、STPなどの、
フレームワークを駆使して、
自分を際立たせることは、
最低条件として必要なことなのです。
クリス・ハートの好きな日本語は、
「仕方ない」
だそうです。
日本語の「仕方ない」には、
仕方ないからこそ、次へ進もうという、
ポジティブさを感じるから。
日本にいると気づかなかった、
外から見た日本のよさを、
彼から教えてもらった気がして、
クリス・ハートが好きになりました。