今や世界中から視察がくるほど、
有名になった徳島県の過疎の町、上勝町。

町の高齢者たちがタブレット端末を使いこなして、
年収1000万プレーヤーも誕生しています。

商材は葉っぱ。
今日、七夕は、ささの葉が大人気だそうです。

ツマモノ 出典:いろどり

とくかく高齢者が活き活きしているのです。

単なるお金儲けの楽しさではなく、
70歳以上の高齢者たちが自立して、
役に立つ仕事を続けることの歓びを、
感じているのです。

このビジネスを立ち上げたのは、
元農協の営農指導員、横石さん。

この地域にあるものを活かせる
ビジネスを構想し始めたのが、
1981年。

葉っぱビジネスをスタートしたのが、
1986年。

なんとか事業が軌道にのったのが、
1988年。

そこまでの道のりは、
たやすいものではありませんでした。

過疎の町、なにかやらなきゃな。
ということで、
まず最初にやることは、
だいたい「会議」ですね。

中小企業でもおそらくそうですね。
かつてのヒット商品が、年々、
勢いを失って売り上げが下がっている。
なにかやらなきゃな。
と、幹部を集めて「会議」。

およそ、「会議」でなにか、
新規ビジネスが生まれた。
なんて話は、聞いたことがないですよね。

横石さんも同じでした。
町の幹部を集めて、会議。
ああだ、こうだ。と結局何も決まらず、
時間だけが過ぎていきました。

そんな中、横石さんは、
ある寿司屋でこんな会話を耳にします。

「この葉っぱ、かわいいね」
「持って帰ろうよ」

横石さんは、「これだ!」とひらめきました。
山にいくらでもある葉っぱを、
必要としている人がいる。
これをビジネスにしよう。

そして、会議。
誰一人賛同してくれる人はいません。

「ゴミ拾って、お金になるわけない」

横石さんは、あきらめずに、
なんとか数人のおばあちゃんを口説いて、
とにかく小さくはじめてみました。

ところが、全く売れないのです。

なぜ売れないのか。それを知るために、
横石さんは料理人のところに
葉っぱ(ツマモノ)を持って行きました。

「こんなもの使えない」
「料亭の現場も知らずに、こんな
商売するな」

と剣もほろろで追い返されました。

それでもあきらめない横石さんは、
こんどは料亭を訪ねました。

しかし料亭は、絶対に中に入れて
くれません。切羽詰まった横石さんは、
強引に料亭の厨房に侵入。
店の人にボコボコにされてしまいました。

たいていの人ならここで、
あきらめてしまうでしょう。

横石さんは、ここで家族に助けられました。

「家にお金いれなくていいから、
料亭にお客さんとして通ったら」

と言ってくれたのです。
それから月給15万円のすべてを、
1回2~3万円の料亭に注ぎ込み、
ツマモノの価値、使われ方を、
徹底して学びました。

そうしてようやく事業を軌道に
載せることができたのです。

その後、高齢者でも使えるITを
工夫したり、競争意識をうまく
活用したり、様々な工夫を
こらして、年商2億円以上の
事業に育てました。

 

飛躍の瞬間は、横石さんが
家族の理解を得た瞬間でした。

 

新規ビジネスは会議では生まれない。

まずは小さくはじめてみること。

そして直販は、
お客さんのことを知らない限り、
何度会議を開いても、
成功することはないのです。