江戸っ子1号のキーパーツ、
深度8000m、水圧800気圧に耐えるガラス球
を開発したのは、岡本硝子という千葉の中小企業です。

江戸っ子1号のキーパーツ、ガラス球を開発した岡本硝子が協力する理由とは?

江戸っ子1号ハンディカム 出典:Sony Video Camera 極限の目撃者

 

岡本硝子は、2002年、
「経産省の選んだ世界トップベンチャー・中小企業」6社
のうちのひとつに選定された優良企業です。

当時プロジェクター用の反射鏡において世界シェア55%。
国内シェア80%と圧倒的。
デンタルミラーのおいては国内シェア90%とほぼ独占。
2003年にJASDAQに念願の上場を果たしました。

こうしてみると、中小企業のスターともいえる岡本硝子。
しかしその発展の道のりは、
1928年の創業以来、決して一本調子ではなく、
およそ10年ごとに危機を乗り越えて、
つねに新たな市場へとチャレンジする歴史でした。

 

■岡本硝子の市場転換

戦前:工芸ガラス
1940年代:船舶、鉄道用信号灯
1950年代:水銀灯カバーガラス
1960年代:電子レンジ用ガラス
1970年代:ヘッドランプレンズ
1980年代:照明用反射板とデンタルミラー
1990年代:プロジェクター用反射板
1996年ごろ:光源反射鏡

 

特殊ガラス技術というコアは決して変えずに、
市場が先細りするタイミングで、
次のさらなる規模の大きな市場へと、
うまく乗り移りながら成長、発展しました。

それを7回も繰り返し続けてきた結果だけを
振り返ると、あたかもすべてが計算されたかの
ような錯覚に陥るほど、見事な市場転換です。

しかしつねに危機感を保ちながら技術の向上と蓄積を
重ねたところに、偶然とも呼ぶべき新市場の発見と、
新市場の要求に対するあきらめない技術開発によって、
時代のニーズに適応してきました。

7回も飛躍を繰り返すことができたのですから、
偶然さえ呼び込む岡本硝子の経営に、その秘密があるはずです。

 

私の技術経営大学院でのペーパー、
「市場が技術をドライブする」
東京理科大学技術経営専門職大学院(MOT)
優秀ワーキングペーパー賞受賞

では、その秘密に迫りました。

江戸っ子1号のプロジェクトに、
会社として協力できなかったソニーと、
会社として協力できた岡本硝子の違いの理由が、
その秘密にあります。

次回は、その秘密をご紹介します。

 

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