江戸っ子1号で、ソニーエンジニア有志たちが活躍しました。

ソニーは必ず復活する、ソニーエンジニア有志たちの快挙

 

江戸っ子1号水槽実験 出典:江戸っ子1号プロジェクト公式サイト

 

 

ソニーが会社として最初から公式に協力できなかったのは、
費用対効果が見積れなかったからです。
経営判断としては、極めてまっとうですね。

メーカーとしては、協力した結果、売上がどれくらいUPするか。
がひとつの指標です。

 

売上をUPするには、経営上、大きく三つの考え方があります。

1.使用される商品の数が増える

これがダイレクトな売上UPです。
提供したプロダクトを使ったシステムが、
全世界で100万台売れれば、100万台の
売上UPです。

江戸っ子1号は、具体的なアウトプットの商品プランが、
描けていませんから、ソニーはここでOKとはいえません。
また成功しても、ソニーの事業規模に影響する数が
見込めるとも思えません。

2.ブランドの価値を高める

これが最も有力な判断材料です。
下手をすれば、とてもあいまいな企画にしか
なりませんが、うまく効果を数字で表現できれば、
会社を動かすことができます。

銀座のソニービルで予算がついたのは、
会社としてここを納得したからです。
露出が増えれば売上UPにつながるという判断です。
しかし結果が出る前には判断できませんでした。
海のモノとも山のモノともつかないプロジェクトに、
予算は割けません。本体が真っ赤っかなのに、
他にやることあるだろう。と株主も言うでしょう。

3.社内エンジニアのやる気が上がる

やる気が上がって売上もUPすれば、素敵なことですが、
数字で測ることが難しい。
これで会社を説得することはできません。
決して侮ることのできない影響がありますが、
うまくいったときの波及効果のひとつであって、
決断の決め手にはなりません。

 

 

さて、ソニーはこうして、協力の要請がきても、
会社としては予算をつけることはできず、
やむなくエンジニアが個人的に協力する「有志」いう
形になったのです。

 

江戸っ子1号にはさまざまな技術が結集されていますが、
もっとも重要なパーツは、ガラス球です。

深度8000m、水圧800気圧の耐えるガラス球は、
技術力のある硝子メーカーにとっても、
難度の高い未知へのチャレンジが必要な開発です。

このガラス球を開発したのが、
千葉県柏市にある従業員243人の岡本硝子。

歯医者さんのデンタルミラーで世界ナンバーワンのシェアを
もつ、ニッチトップの優れた中小企業です。

技術経営大学院のワーキングペーパーで、
私が研究対象とした会社でもあり、
インタビューで訪問したこともあります。

 

今回、岡本硝子は、会社として協力しました。
岡本硝子も、上にある1.2.3.の観点から、
判断すると、GOサインはでないでしょう。
規模の大小ではありません。

 

岡本硝子には、やる理由があるのです。
それは岡本硝子の歴史にも関係あります。
そしてそれこそが岡本硝子が、
現在も事業を継続して発展させている理由なのです。

ソニーにできなくて、岡本硝子にできた理由。

次回からそれを詳しく解説します。