病院の中で、手術のために医師が
溶接作業をすることがあるって
ご存知でした?

 

大動脈は通常2~3cmですが、
5~6cmになると、大動脈瘤と呼ばれ、
血管が破裂する可能性が大きくなります。

手術に比べて、患者の負担が少ない
治療法として、
ステントグラフトによる治療方法が
あります。

ステントと呼ばれる金属のバネの部分と、
グラフトと呼ばれる人工血管の部分
からできています。

開腹手術をせずに、このステントグラフト
を足の付け根の動脈から挿入、
大動脈瘤部分に置くと、

瘤の部分に血圧が直接かからなくなり、
破裂に危険がなくなります。

このステントグラフト内挿術は、
2007年から保険適応となったのですが、
ステントグラフトそのものは、いまだに
認可されておらず、
市販のステントグラフトというものは、
存在しません。

患者さんの大動脈径や病変の形状に
合わせて、ひとつひとつ医師が
手造りしているのです。

 

この製作に微細な金属の溶接が
必要になるのですが、
大阪に、その小さな溶接機を作っている
会社があります。

超小型スポット溶接機の
臼谷電子株式会社

典型的な下請け加工の中小企業
でしたが、
大手メーカーが生産拠点を海外に移す
動きの中で、
かつて200名を超えた従業員は、
40名まで減りました。

唯一、大学や大手メーカーの
研究所向けに細々と生産していた、
超小型スポット溶接機
「ミニミニウェルダー」。

ミニミニウェルダー

出典:臼谷電子

 

代理店1社に、販売を任せきりでしたが、
下請けからの脱却を目指すにあたり、
ミニミニウェルダーの直販に
力を入れるようになりました。

商品も、著名デザイナーにデザイン
を依頼して一新。
制御部をデジタル化し、
スピードや制度を高めました。

ホームページも
ミニミニウェルダー中心に
刷新しました。
動画も満載で、
英語、インドネシア語にも対応しています。

おかげで様々な業界から問い合わせが、
増加し、新しい商品開発や海外展開が、
動き始めています。

 

医師が使いこなせる信頼性の高い
超小型溶接機。医師という特殊な
顧客を相手に、使い勝手を追求
した結果、

素人でもきわめて簡単に
微細なスポット溶接できる、
安全な機器が開発できました。

その技術の蓄積が、
下請けからの脱却、直販に
結びついているのです。