出版というと、文字通り、
「版」を作り、
大量に印刷して製本するという、
大がかりなものです。

これに対し、パンフレット、取扱説明書
などの小ロットの印刷物は、
プリンターで印刷して、製本します。

いってみれば会社のプリンターでコピーして、
一冊の資料をつくる作業の、
延長線上にあります。

パンフレット

 

こういう印刷をオンデマンド印刷と
呼びます。

太陽精機は、オンデマンド製本市場で、
世界シェア80%をもつ、
社員500名ほどの京都の会社です。

ここまでのシェアを獲得したのは、
直販内製化を徹底したからです。
太陽精機は最初から直販だったわけ
ではありません。

 

1973年に世界初の卓上製本機を開発し、
当初は国内商社を通して米国で
売れに売れました。

しかしオイルショックの影響で、
突然注文がすべてキャンセルとなり、
一時は倒産の危機にさらされました。
その苦い経験から、国内外に販売会社を
立ち上げて、直販する体制を築きました。

直販によって、
顧客と直接つながることで、
製品開発と市場の
フィードバックループが構築され、
太陽精機はどこよりも早く、
最先端の技術蓄積が進んだのです。

 

さらに技術蓄積のスピードを
加速するこだわりが、
部品の内製化
です。

太陽精機はあらゆる部品を、外注せず
自らの工場で設計、生産しています。

 

かつて大企業にいた私には、
外注することの非効率さが、
身に染みて理解できます。

外注する。という行為は、
変化の少ないときには、
とても効率的ですが、
つねに変化するようなときには、
かえって品質維持や納期の面で、
ボトルネックになってしまうのです。

オンデマンド市場のような、
デジタル化の波と密接にかかわる
市場の変化のスピードは、
とても速いものです。

それにきめ細かく対応して、
開発を続けるために、
太陽精機は、部品の内製化に
こだわっているのです。

 

『最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である』
チャールズ・ダーウィン