東日本大震災で1両も脱線しなかった東北新幹線。最高速度320km/hの新幹線が、非常時にも事故にならないのは、最高速から安全に止まるためのブレーキ技術があるからです。

東北新幹線のE5系に採用されているディスクブレーキはドイツのクノールブレムゼ社製。新幹線ではじめて採用された外資系ブレーキ。最高速度ではドイツのICEが世界で一歩リードしてきました。それに付随する技術革新もドイツが最先端ということです。


一方の東海道新幹線は、3月の新ダイヤから一部の編成が最高速度285km/hになります。いままでよりも15km/h速くなります。

東海道新幹線は東北新幹線と違いカーブが多く、スピードがあげにくい。これに対し従来からカーブで車体を傾けスピードを落とさない技術などがN700系以降の車両に導入されてきました。

今回の15km/hアップのキーになった技術は、JR東海が開発した制動力のより高いブレーキの技術でした。

最高速度アップには制動力アップが鍵なのです。

このスピードアップで東京大阪間が3分短縮するそうです。たった3分ですが、狙いは時間短縮だけではありません。新幹線は日本を縦断する超長距離路線。どこか一箇所で豪雨、豪雪や地震が発生すると、たちまち全路線の走行に影響がでます。そこで遅れが少しでも出たときに重要なことはリカバリー。最高速度がアップすると、そのリカバリーの幅が拡がり、より早く遅れをキャッチアップできるようになるわけです。

新幹線

山手線より過密な約3分間隔で走る新幹線。1列車あたりの年間の平均遅延時間がたったの6秒!!という記録があります(2003年)。2013年は54秒でした。これは悪天候による遅延を含んだ値ですから、とんでもない正確性です。

東海道新幹線はブレーキ技術の革新でさらなる正確性というベネフィットを追求しています。

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