三洋電機が2006年に発売した、
エネループは、

使い捨てない電池

というコンセプトで、
リチウムイオン電池よりも安価で手軽な
ニッケル水素充電池の技術を極めた電池でした。

普通の乾電池のように買ってすぐ使えて、
かつ継ぎ足し充電もできる。
という、いわゆる充電池とは
そもそもの出発点が違います。

エネループという名前が示す通り、
環境を意識しており、
使い捨ての乾電池から、使いまわす電池へ
世の中を変えていこうという、
強い意気込みが感じられました。

 

そのエネループブランドのコンセプトを、
受け継いで商品展開されたのが、
電動ハイブリッド自転車、エネループバイクです。

環境に配慮して、回生充電にこだわったのは、
エネループのコンセプトからすれば、
自然の流れでした。
下り坂ではモーターを発電機として切り替えて、
エネループバッテリーに充電することで、
走行距離を飛躍的に伸ばすことができます。
その後三洋電機は、パナソニックの子会社となり、
エネループバイクは、パナソニックの
電動アシスト自転車のブランド、ビビに
組み込まれることになりました。

バッテリーはリチウムイオンに一本化されました。
パナソニックの節電ブランドである、
エコナビ商品にも仲間入りしました。

エコナビのコンセプトは「節電」です。

家電がムダを見つけて、自動で節電

「環境」というベネフィットとは直接結びつかない
コンセプトではなく、
「節電」という身近なベネフィットを
もってくるところが、
パナソニックのニクいところです。

電動アシスト自転車でいえば、
節電=長距離走行
です。

ビビチャージモード
出典:ビビチャージ

こんな図でベネフィットを表現しています。
平地充電モードで走行距離2.6倍
走行距離最大176kmは驚異的な数字です。

しかし、ネットで評判が悪いのは、
どうやらこの「平地充電モード」のようです。
下り坂だけでなく、平地でも積極的に
充電、当然アシストはオフになります。

電動アシスト自転車に一度でも乗ると、
わかりますが、足が一旦アシストに慣れてしまうと、
もう後戻りできません。
いままでなんでもなかった普通の自転車を
漕ぐのが、とても重く感じるのです。

平地充電モードは、その罠にはまって
しまったように思えます。
平地充電モードは使えない!という声が
あがっています。
2.6倍という数字にこだわり過ぎたのでしょうか?

平地充電モードはエネループバイクの時代には、
エコ充電モードと呼ばれていました。
当時は、パワーモードに比べて1.5倍程度でした。

 

設計思想が変わると、
同じ技術でも、バランスの取り方が変わります。

電動アシスト自転車にとって、
回生充電の技術は将来欠かせないものに
なっていくはずです。
しかし技術を進化させていくには、
ユーザーベネフィットを見極めた設計思想と、
バランスの取り方が極めて重要です。

 

パワーモード、オートマチックモード、
平地充電モードとか、
よくわからないモードが並んでいるのが、
そもそもよくないですね。

私なら、
ノーマル状態で最適設計したうえで、
パワーボタンと充電ボタンをつけますね。
掃除機のパワーボタンと静音ボタンみたいな。
パナソニックならそうすると思うのですが。