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セブンカフェドーナツ、リニューアルの思惑
1月18日(月)「生まれ変わったセブンカフェドーナツの大試食会」が行われます!新宿東口の駅前、アルタの向かい側ですね。19日の販売開始を前にものすごい人が集まりそう。 これはもちろん、セブン-イレブンがSNS拡散を狙ったイベント。 出典…




セブンカフェドーナツが1月19日からリニューアルされます。

一部報道では、



「売上伸びず、全面刷新」読売新聞

「販売テコ入れ」日経新聞



などと表現されていますが、目標売上に届いていようがいまいが、このリニューアルは、セブン-イレブンお得意の改善活動の一環であり既定路線です。



むしろセブンカフェドーナツの戦略の一部といっていいでしょう。



人々の頭の中にあるドーナツのコストパフォーマンス感覚を変える



という戦略です。



セブンカフェドーナツが登場したとき、人々の頭の中には、各社のドーナツはつぎのようなプロットがなんとなく浮かんでいたはずです。



S:セブンカフェドーナツ

M:ミスタードーナツ

C:クリスピークリームドーナツ



ドーナツXYプロットA



価格が高ければ質も高くなる



というごく当たり前のことがドーナツ市場で起きていると。

ですから、「やっぱりミスタードーナツのほうが美味しいね。」という意見も出ますし、この時点ではコストパフォーマンスは対等で、ある程度の住み分けができています。



セブンイレブンのドーナツは、ミスタードーナツに勝てるのか?
マクドナルドからコーヒー市場を奪ったコンビニ。 今度はミスタードーナツからドーナツ市場を奪おうとしています。 セブン-イレブンは、レジ横にドーナツ専用ケースを置き、本格的に全国展開を始めました。先行導入店では、菓子パンの売上を減らす…





セブンカフェドーナツは、セントラルキッチン方式のメリットを活かして、同価格で質を上げる努力を絶えず行います。その結果、S、M、Cの位置関係に変化が現れます。



ドーナツXYプロットB



矢印が今回のリニューアルです。これでも、まだミスタードーナツのほうが質で勝っているので、「やっぱりミスタードーナツのほうが美味しいね。」という意見は相変わらず出ることでしょう。しかしポイントは、セブンカフェドーナツVS.ミスタードーナツという構図の話題が、盛り上がれば盛り上がるほど、人々の頭の中のブロットが変化します。



ドーナツXYプロットC



S、M、Cの相対的な位置関係はまったく変わっていないのですが、頭の中に新たなコストパフォーマンス直線の感覚が芽生えてきます。こうなるとミスタードーナツやクリスピークリームドーナツが割高に思えてきます。



ミスタードーナツは、そうなることを見越して様々な手を打っています。



ミスドクレームブリュレドーナツ

出典:ミスタードーナツ

たとえば、1月5日から販売開始した、

クリームブリュレドーナツ 172円

『ミスドは手づくり』

というキャンペーン。




「丁寧キャラメリゼ」と謳っていますが、なんのことはない、バーナーで表面を焼いているだけです。回転寿司のあぶりトロサーモンの演出と変わりありません。とはいえ上手に魅力的にアピールできています。



ドーナツXYプロットD



ただし、矢印の方向が、質も上げて価格も上げるという斜め上の方向です。これではコストパフォーマンス直線が上昇した時に、効果がありません。

これがいわゆるイノベーションのジレンマです。質が劣り価格が安い強力な競合が別の業界から出現したとき、既存企業は高価格路線に押しやられシェアを落としていきます。



ミスタードーナツは高価格路線だけでは売上目標を確保できないので、100円キャンペーンが常態化しています。



ドーナツXYプロットE



矢印の方向は、質が同じで価格を下げていますから左向きです。これならセブンカフェドーナツが仕掛けたコストパフォーマンス直線上に乗ってきます。しかし値下げの常態化は、ミスタードーナツの利益を確実に減らし体力を徐々に衰えさせます。ミスタードーナツは「手づくり」ですから、コストの削減には限界があるのです。



ミスタードーナツが本来やるべき努力は、真上の矢印です。同じ価格で質を上げることです。「やっぱりミスタードーナツは段違いでうまい、ホンモノは違う!」と言ってもらえるような商品改善体質がミスタードーナツにあるかどうかが問われています。