製品の商品化というテーマで、「畑耕して種まきを忘れる」という英語のことわざを紹介しました。

仏造って魂入れず、畑を耕して種まきを忘れる
仏造って魂入れず ということわざがあります。 一番肝心なものが抜け落ちていることのたとえです。 英語だとこういうのだそうです。 Ploughing the field and forgetting the s…


ソニーの先輩から、

なんとなくですが、昨今畑を耕していないのに、種を蒔いて芽が出て来ないと言っているケースが多い気がします。ただ耕したり蒔いたりするのではなく、耕し方、蒔き方が重要なのですが。

というコメントをいただきました。

 

確かに、

土は天からの授かりもので栄養たっぷりだから種を蒔けば自然に育つ
=組織は過去からの授かりものでエネルギーいっぱいだから、そこから自然にいいアイデアが湧き出てくる

と勘違いしている、もしくは土いじりのやり方がわからない。というケースが身近に溢れていますよね。

製品の商品化の前段階、製品化のための組織づくりというテーマです。

 

父は定年後畑に精を出すようになりました。もともと農学部出身ということもあってか、立派な作物を育てるようになり、そのおすそ分けをよく送ってもらっています。

ほうれん草

昭和一桁生まれの父は、

収穫した作物は、あますところなく無駄にしない。

がポリシーで、どんな葉っぱもミキサーにかけて毎朝飲んでいます。それでもどうしても食べられない部分、食べきれない部分が出てきます。それを、畑の一角につくった藁をかぶせたコンポストエリアにどんどん重ねていきます。いわゆる堆肥です。半年もすれば、下の方は土のようになっています。不思議なものです。腐るのではなく、栄養たっぷりの天然肥料になります。

その堆肥をふんだんに土に戻して育てた野菜の甘さは格別です。「うちの親父はついにボケて、砂糖水を野菜に撒いているんじゃなかろうね?」と思うくらいほうれん草やとうもろこしの甘みは、他では味わえません。

 

組織は、過去からの授かりものです。
それをそのまま使い倒していけば、組織はだんだん疲弊しエネルギーは少なくなっていきます。そこからよい製品は生まれません。組織を育てるヒントは、堆肥のように一旦収穫した成果を組織に戻していく、フィードバックループにあります。フィードバックといっても、単に給料を上げればよいということではないでしょう。それぞれの会社なりのフィードバックループシステムが、その会社らしい知の熟成を育んでいきます。