戦略オプションを増やすということはどういうことか、自宅から新宿までの行き方を例に説明します。

 

神奈川県三浦郡葉山町という駅のない田舎の自治体から都心に引っ越してきたので、交通に関しては当初頓珍漢なことを考えていました。

住んでみなければわからないことって、たくさんありますよね。

住む場所を決めるとき、最寄り駅までの距離ばかり気にしていました。住んでみるとバス停がすぐ近くということを知り、バスを考慮していなかったのが、片手落ちの発想だということに気づきました。

しかし、終バスの時刻が平日は22時台、土日は21時台という驚きの時刻表。葉山では最終深夜バスが午前1時に逗子駅を出発すので品川で0時前まで飲めました。なんのことはない、バスに頼るとすれば葉山にいたときよりずいぶん早く飲み会を切り上げることになります。

路線バス

さて、そんな自宅から、新宿に出るにはいくつかの方法があります。どれも一長一短があります。

1.徒歩で雑司が谷駅、副都心線で新宿3丁目駅

○終電が遅い、☓駅まで時間がかかる

2.徒歩で護国寺駅、有楽町線で池袋駅経由埼京線で新宿駅

○終電が遅い、○駅まで近い、☓お金がかかる

3.バスで新宿

○乗り換えなし、☓時間がかかる、○雨の日は便利

4.バスで目白駅、山手線で新宿駅

◎最速、☓お金がかかる

5.自転車で新宿

◎無料、○健康的、☓雨に弱い

 

戦略とは筋書きです。
筋書きはいくつかのパス(Path)の集まりです。

自宅から新宿に出る行き方を戦略思考で考えれば、戦略オプション=筋書きが5種類あるということです。そしてそれぞれの中継点までがパスです。行き方は、いくつかのパスの組み合わせです。

さて、どうでしょうか?戦略を立てるとき、各パスが明確で、各戦略オプションのメリット、デメリットがこれくらいにスッキリまとまっていれば、最善の筋書きを考えやすくないですか?

住む前の私には、戦略オプションは1.2.しかありませんでした。
しかしバスというパスを知ることで、オプションが倍増しました。さらに自転車というアイテムを手に入れることでオプションを増やしました。

結局今は、雨が降らなければ5.自転車、雨なら4.バスで目白経由、と当初頭になかった行き方を選んでいます。

 

戦略の筋書きを考える時、誰でも思いつくような筋書きだけで満足せず、もっと視野を広げた筋書きもひねり出してみましょう。上のバスや自転車のような。それが戦略思考の醍醐味です。ユニークなパスを見つけることができれば、他社の追随を許さないポジションを築くことができます。