ある高校のバレーボール部、ライバル校にはいままで負け知らず。あなたはエースアタッカーと仲がよく、あなたがボールを上げて、エースアタッカーが打ち込んで得点。という勝利の図式ができているとします。

最近ライバル校が実力をメキメキつけてきたという噂が流れてきました。そこでエースアタッカーはあなたに相談します。

「ボールをあげる練習をもっと増やしてくれないか?」

 

1.セッターに専念し練習する
2.アタックの練習をして2枚看板を目指す
3.セッターの練習もアタックの練習もガンバル
4.今でも勝てているので練習メニューを変えない

バレーボール

これだけの情報で、どの選択肢が最適かは判断できません。
どれがいいか考えるときに、戦略思考に必要なのは、

時間軸

です。

 

次の試合に勝つことを目標にするなら、1.セッターに専念がいいかもしれません。エースアタッカーとのコンビネーションを徹底的に高めることで得点力を向上させる。その向上スピードが、ライバル校の実力アップスピードより勝っていれば、今までどおり勝てます。現実主義といえます。

もし自分自身が実はアタッカーに憧れているなら、2.アタッカーの練習をしたいと思うかもしれません。現実主義に対する理想主義です。もし2枚看板が実現すれば、ライバル校どころか、もっと強い高校に勝てるようになるかもしれません。新たなセッターの育成も必要になります。このとき重要なことは、目標までの時間軸の設定です。2枚看板という状態になるのが1年後なのか、半年後なのかを明確にすることです。次の試合はもしかすると負けるかもしれません。そこでブレないことです。

多くの人が選ぶのが3.どっちもガンバル。です。この案には誰も反論できません。1.も2.もリスクがあります。1.は、セッターの練習をすれば本当に得点力があがるのか不安。2.は、アタッカーとしてセンスが決定的に欠けているかもという不安。どちらも不安です。3.ならなんとなく安心。でも実際はどうなるでしょうか?

実際は、4.なにも変えない。と同じになります。どっちもガンバル。は今までとなにも変わらないのです。なぜなら今までもどちらも頑張ってきたはずです。どっちもガンバル。は戦略思考ではありません。セッターの練習量を圧倒的に増やす。であれば戦略思考です。ただしこの場合は、どれくらいの量をどうやって増やすのか、戦術的な工夫をこらさないと、いつのまにか以前と変わらない状態になります。むしろ、時間軸で区切って、次の試合までは1.セッターの練習を徹底的に。次の試合の結果を見た上で、1.または2.を選ぶほうが筋の通った戦略になります。

 

いずれにせよ、戦略思考には時間軸が必須です。

時間軸がないと、現実主義VS理想主義の論争になって、どちらがよいか冷静に判断できなくなります。そして結局どっちもガンバル的な消去法のスローガンになってしまいます。