戦略とは、
「市場の中の組織としての活動の長期的な基本設計図」
「企業や事業の将来のあるべき姿とそこにいたるまでの変革のシナリオを描いた設計図」
伊丹敬之『経営戦略の論理』より
この二つの文章からすべての修飾語を省略すると、
戦略とは設計図である
となります。
「設計図」は「計画」とは違います。
それを端的に表しているのが、
基本設計図
という言葉です。
こんなことがよくありました。
大勢が出席する長い長い会議の最後。様々な意見が出たけれども、結局はっきりした結論がよくわからないような状態で、課長が、「ま、とにかくスケジュール立ててみてよ。たたき台でいいからさ」なんてグループリーダーに振るようなシーン。
スケジュール=計画から着手するのは、戦略思考とは真逆のやり方です。だいたい計画というものは、細かい事項の積み重ねによって成立するもので、ざっくりした計画なんてものは、あってないような計画です。ひとつ前提が崩れれば、また計画の練り直し、みたいな経験ありませんか。
基本設計図というものは、かなり大雑把なものです。家を建てるときに、「こんな家がいいなぁ」と夢見ているくらいがちょうどいいのです。いきなり蛇口の型番とか壁紙の質感のハナシをはじめるとキリがありません。ただどうしても譲れないところがあると思います。「天窓は絶対に欲しい」とか「家族団らんのスペースを重視したい」とか。そこにフォーカスすることが、戦略思考の糸口になります。つまり、
戦略の設計図とは、こだわりにフォーカスしつつ、詳細には踏み込まない大枠の設計図
ということになります。、
「大枠」と捉えておかないと、戦略思考になりません。
長い長い会議の原因は、詳細の議論に終始し、ファシリテーターの戦略思考が欠けているからだったりするものです。とはいえなかなか難しいんですよね。詳細の議論はみんな得意で批判もしやすいので、盛り上がります。でもどんな家を建てようか、というときに壁紙をどうするかを1時間も議論するのは非効率です。
戦略思考は、「大枠」「大枠」と心に刻みましょう。
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