勉学以外に夢中になることがありすぎて、
気が付けばすっかり落ちこぼれた高校時代。

それでも高3の夏休みに
偶然にも発見した志望校は、
数学と物理が苦手なのに、理系の単科大学。

案の定、現役では実力不足。
予備校に通うことにしました。

 

予備校の選択講座の中に、「確率・数列」
があり、なんとなく受講することに。

ふたを開ければ、超不人気講座で、
受講者5人。

ご高齢の先生のたんたんとした授業でした。

5人しかいないので、演習問題が
ばんばん回ってきます。

しかし私には「あんちょこ」があったのです。

 

高校の時の数学の先生、
塩崎先生、通称塩ちゃんが、
昔、授業で、配ってくれた2冊のプリント集。

一冊が、「確率の基礎」、
もう一冊が、「漸化式」。

「漸化式」のほうの表紙には、
(ざんげしきではない!)
とわざわざ、下手なひらがなで書かれていました。

塩崎先生は、解法はとびきり美しいのに、
ひらがなの美しさにはこだわっていないようでした。

校舎

確か授業中に、

「君らなぁ、この2冊さえやっとったらなぁ、
確率と数列の問題に関しては終わりやでぇ」

そんな塩ちゃんの言葉を頼りに、
とにかくその2冊を片手に、
予備校の演習問題を、
せっせと解きました。

 

何週間かして、いつのまにか私は、
予備校の先生のお気に入りの生徒になっていました。

ちょっとみんなが行き詰まった時に、
当てられる生徒。

本当に「確率・数列」の問題に関しては、
怖いもの知らずになった私は、
すっかり気をよくして、
そこから数学の他の分野、
物理の各分野をひとつづつ克服して
いくことができました。

 

「これやっとけば終わりやでぇ」

そんな完璧なプリント集が、
落ちこぼれの私を救いました。

塩崎先生、ありがとうございました!!
塩崎先生は、多くの方に惜しまれながら
この8月に永眠されました。
謹んでご冥福をお祈りいたします。

8月7日に奥様が電子書籍を出版されました。
数楽しませんか?」塩崎勝彦著

※塩崎の「さき」は、ほんまは「﨑」やでぇ