ペヨング

なぜかジュディー・オングとペ・ヨンジュンを思い出してしまいました。

何度食べても飽きないペヤング。
関東ではカップ焼きそばのトップシェア。
その廉価版、ペヨングが3月14日から発売するそうです。

ペヨング
出典:まるか食品

早くもネットで話題沸騰!

まるか食品社長によれば、

「オープン価格で小売店の特売ニーズに応えたい」

というのが狙い。

小売店向けのポーズとしてはそうなのでしょうが、
ホントの狙いは、話題づくりと利益額アップ。
そして関西攻略です。

異物混入問題で半年間工場を止めたまるか食品。
フタを開けてみれば、ペヤングの生産量は以前より
1.6倍になりました。

これでまるか食品は新たなPRの手法を学びました。
シェアしたくなる話題は強力に拡散すると。
テレビコマーシャルに何億円もかけてインパクトを訴求
するよりも、テレビやネットが勝手に拡散してくれる話題づくりの
ほうが何倍もマーケティング効果があるということを。

廉価版戦略は、危険な戦略です。
わざと性能を落とした製品をモンキーモデルと呼びます。
新興市場で低価格な競合がシェアを伸ばした時に、
既存企業がシェアを維持するためにモンキーモデルを開発します。
長期的にはあまり成功することはありません。
ブランド価値が毀損しますし、市場で一度下がった価格は、
二度と元には戻れませんからメーカーの利益を圧迫します。

小売店の特売ニーズ、という狙いは、顧客目線ではなく小売店目線です。
もともとペヤングなどのインスタント食品は定価で売られることはまずありません。
ペヤングの希望小売価格は170円(税別)ですが、コンビニでさえこの価格では販売されていません。スーパーではたまに特売されています。
小売店の特売ニーズとはもう少し噛み砕くと、「特売しても同じ利益率を確保したい」というニーズのことです。虫の良いハナシです。

特売は普通、小売の利益率が悪化しますが、売上がアップするので利益額が確保できます。メーカーは卸価格が変わらないので増収増益が見込めます。ただし特売が常態化すると定価そのものの信頼性がなくなり、商品価値が下がります。商品価値が下がると特売の効果が薄くなり、小売は利益率の悪い商品に魅力を感じなくなります。そこで卸価格を下げろ、という圧力が小売からかかります。そうして結局、メーカーも小売も減収減益になります。

ペヤングがこうなることを、メーカーも小売も望んでいません。

そこでペヨングの登場です。

小売はペヤングと同程度の利益率で、特売をバンバン打てます。そして長期的にペヨングの力がなくなってきたら、メーカーはペヨングというブランドを切り捨てることができます。ペヤングのブランド価値には影響しません。

一時的にペヤングの売上をペヨングが奪うことになりますが、以前より1.6倍の売上規模になったまるか食品は、メーカーとしての利益率確保を目指すよりも、売上規模を拡大して利益額を伸ばすソロバン勘定を覚えました。現在はそのフェーズと判断したのでしょう。

ペヨングが発売されれば、しばらくはペヤングとペヨングの違いが話題になるでしょう。小売はそれを見込んで特売のための発注を大量にかけているはずです。まるか食品はこれでカップ焼そばのシェアをかなり伸ばすことになるでしょう。関西のUFOの牙城を崩すことになるかもしれません。ペヨングのネーミングは、明らかに関西で受けがいいはずですから。

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