犬と飼い主
出典:imgur.com

飼い犬と飼い主は似るらしい。
一緒に生活するうちにだんだん似てくるのではなく、飼い主が自分に似ている子犬を選ぶ傾向があるからだと言われています。関西学院大学の中島教授は「人は見慣れたものに好感を抱く性質があるため」と考えています。

これはザイアンスの単純接触効果で説明ができます。繰り返し接すると好感度や印象が高まるという効果で、見たり聞いたりすることで作られる潜在記憶が、印象評価にバイアスをかける現象です。

人は自分の顔を鏡で繰り返し見たり、自分と似た血縁者と生活を共にすることで、無意識のうちに自分と似た顔に対する好感度がアップするというわけです。

同様に、男性は自分と似ている女性を魅力的だと感じ恋人に選ぶから、カップルの顔は似る。という研究結果もあります。(フランスのモンペリエ第2大学)

 

ミシガン大学の心理学者ザイアンスが発見したこの単純接触効果は、マス広告の代表格であるテレビコマーシャルが活用しています。繰り返しコマーシャルを見ることで、その商品の好感度が上がります。YouTubeはさらにターゲティングされた対象者に、コマーシャルを繰り返し見てもらうことができます。

単純接触効果は広告の基本原則ではありますが、やり過ぎると逆効果になることがあります。一時期流行ったリマーケティングは、一度でもそのサイトを訪問すると、様々なサイトのGoogle Adwords枠にその関連情報が表示され続ける、という仕組みです。どのサイトを閲覧しても、まるで自分を追いかけてくるように同じ広告が表示されるので、だんだん嫌気がさして逆効果になることが多く、リマーケティングはかなり注意深く使う必要があります。

潜在意識に自然と好意的な印象を働きかけることが条件。そもそも嫌悪感のあるものを繰り返し提示されれば、ますます嫌いになります。

その意味でGoogleの検索広告やYouTubeのターゲティング広告は、うまく使えばプラスの効果を得られやすいといえます。

関連記事:

ザハとユル・ブリンナー、マツケンと新国立競技場