スーパーでお買い物。
野菜売り場で袋詰めのピーマンを
買うときに、ついついやってしまうこと。
どれが一番多いか探す。
だいたい4~5個入っていて、中には大きいピーマンが、偏って
袋詰めされているものがありそうですね。
しかし!そんな努力はまったくの無駄なのです。
ピーマンの1個の重さは、
20g~60gで、
かなりの違いがあります。
それでも150g入りの袋だとすると、
必ず150g~152gの範囲に
収まるように袋詰めされています。
こんな人間技では不可能なことを、
可能にしているのが、
コンピュータースケール
です。
京都には、老舗の優れたメーカーが、
数多くあります。
イシダは、創業120年のはかりの
メーカーで、1972年に、
コンピュータースケールを
世界ではじめて開発しました。
創業以来、はかりにこだわってきたイシダは、
自動計量機を、1959年には開発
していました。
自動計量機とは、お米などを定量に
袋詰めできるもので、
定量近くまで、一気に袋に投入し、
その後、少量ずつ投入することで、
ぴったりの量、袋詰めする機械です。
しかしこの方式は、ピーマンには、
通用しません。
農協と取引のあったイシダに、
それまで手作業で行っていた
ピーマンの袋詰めを、
自動化できないか。
と要望がありました。
イシダは試行錯誤の結果、
組み合わせ軽量方式を開発します。
複数の計量器で、数個ずつ計量して、
設定重量に最も近い組み合わせを、
コンピューターで選び出して、
袋詰めする方法です。
この方式は、他の農産物、
スナック菓子、ソーセージなどにも、
応用され、スーパーを裏から
支えるかかせない装置になりました。
現在イシダは、
この組み合わせ自動計量装置で、
世界シェア70%、国内シェア80%
を誇っています。
飛躍の瞬間は、
農協からの要望に対して、
開発のゴーサインを出した瞬間です。
中小企業が飛躍するきっかけには、
典型的なパターンがあります。
お得意様からの、新たな要望。
です。まずお得意様と、良好な信頼関係
が前提です。
イシダが「はかる」という技術を
得意としていることを、製品を通じてよく
知っている農協が、
「イシダならこんなことができるかも」
と、困っていることを相談するのです。
そして、「はかる」という技術に
プライドを持っているイシダは、
なんとかそれに応えようとするのです。
なんとかやってみる。
これがその後の飛躍につながるかどうかの、分かれ道です。