インスタントラーメンで、袋麺からカップ麺への飛躍を先導した日清のカップヌードル。こだわったのはカップと麺だけではありません。

具入り

 

カップヌードル以前のインスタント袋麺は、本格的な具を同梱する技術はなく、栄養的、視覚的に充実させたければ野菜等を別に調理する必要がありました。

カップヌードルで究極の即席ラーメンを目指した日清の創業者安藤百福は、社員に具の開発を命じました。従来の乾燥食品を元に戻すには3分間は短すぎ。着目したのはフリーズドライの技術。

第2次世界対戦中に、外傷、熱傷への処置に輸血の代用として使われた血漿増量剤として、保存性の高いフリーズドライ血漿の研究が発展しました。1960年代のベトナム戦争では、軽くて長持ちするフリーズドライ食品が実戦投入。

そのフリーズドライの技術を使ったのが、カップヌードルの具材です。フリーズドライは凍らせた水分を真空状態にして一気に昇華させ蒸発させます。そのためたくさんの細かい穴が開いた状態になります。フリーズドライがカップヌードルに採用されたのはこの小さな穴が理由です。注いだお湯が素早く浸透して3分以内に元に戻るからです。

 

こうしてカップヌードルは1971年世界初のカップ麺として世に出ました。フリーズドライ製法による色鮮やかな、エビ、タマゴ、ダイスミンチの独特の味と食感は、私達昭和世代にとって癖になる味として舌に覚えこまれました。

カップヌードル
出典:日清カップヌードル

 

4月13日、日清はカップヌードルをリニューアルすると発表しました。2009年に「コロ・チャー」に変更されてしまったダイスミンチ。今回のリニューアルで復活すると発表され、歓迎の声が盛り上がっています。麺を食べ終えて、ダイスミンチをスープの中から探しだして食べるのが、なんとも美味しいんですよね。コロ・チャーとダイスミンチの混成になったのは、お客さんの意見を取り入れた結果だそうです。4月下旬からの投入。楽しみです。