フリーズドライの技術。軍隊の携行食の軽量化にはじまり、医薬品では熱に弱い成分の粉末化に使われています。そしてインスタント食品にはもちろん欠かせない技術です。

フリーズドライは、水の昇華現象を利用しています。通常水は、氷から水、水から水蒸気へと変化しますが、昇華は氷から水蒸気に一気に変化する現象です。

まず食品をー30℃以下に凍結。容器に入れ、気圧を1/1000にまで下げ真空状態にします。水の沸点は気圧によって変化し、1/1000気圧ではー30℃付近まで沸点が下がります。この状態で食品にゆっくりと弱い熱を加えると、食品内の凍結していた水分は一気に昇華し、水蒸気となって揮発。結果的に食品は乾燥することになります。

高温で乾燥させないから、風味や栄養価が残りやすい。
水分が極めて少ないから、長期保存に向いています。

宇宙食にも向いているフリーズドライ技術は、最先端の生物科学にも応用されています。京都大学は稀少野生動物保護のために、精子をフリーズドライで保存、再生することに成功しました。液体窒素を使わず常温で長期保存できるこの研究成果は画期的です。

ホワイトタイガー

生命情報を常温で長期保存できるとすれば、遺伝子の記録、再生が可能な未来へのタイムマシンのようなものが実現できるかもしれませんね。