BSE問題に直面した吉野家の安部修仁社長。
牛丼単品勝負の吉野家
⇒牛肉輸入禁止
という誰が考えても絶体絶命のピンチ。
結果からいえば、吉野家はみごとにくぐり抜けました。
いろいろと無理はあったかもしれませんし、ベストな判断だったかといわれれば、あとからケチはつけられるでしょう。
しかし、そのとき、安部修仁は確かに大きな決断をして、吉野家最大の危機をなんとか乗り越えたのです。
ピンチの時の決断とはそういうものです。
安部修仁社長の決断とは、
吉野家はあくまでアメリカ産牛肉にこだわる
アメリカ産牛肉が安全に輸入できるまで、豚丼で生き延びる
ということでした。
吉野家が他の牛丼チェーンと違っていたのは、その戦略思考における現状認識です。
■吉野家の戦略思考
1.ありたい姿=牛丼販売再開
2.現状=牛丼提供不能
■他の牛丼チェーンの戦略思考
1.ありたい姿=牛丼販売再開
2.現状=アメリカ産牛肉の牛丼提供不能
他の牛丼チェーンは、現状の課題がアメリカ産牛肉の輸入禁止にあるわけですから、ありたい姿とのギャップを埋めるには、
オーストラリア産など他の牛肉を使った牛丼の商品開発をする
というシナリオが描けます。
一方の吉野家は、アメリカ産牛肉ありきの牛丼と考えて、オーストラリア産牛肉牛丼のシナリオを捨ててしまいました。
誰もが耳を疑いました。
「それは無理でしょう」と。
しかし、安部修仁はさまざまなシナリオオプションを考えたうえで、そう決断しました。確信をもって。
次回は、その確信の中身を分析します。