東京都現代美術館が揺れています。

18日から始まった「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展に出品していた会田誠一家の作品が、こどもにふさわしくないなどの理由で、23日作家に撤去を要請したとのこと。

ここはだれの場所
出典:東京都現代美術館

きっかけは美術館友の会会員一人からのクレーム。

ここでの突っ込みどころは、たった一人のクレームで撤去なの?ということではありません。クレーム対応の一貫で、東京都のお役人がダメ出しをせざるを得ない事情はいったいなんだろうか?という不透明な部分です。

会田誠氏⇔担当学芸員⇔チーフキュレーター⇔館長⇔東京都⇔文部科学省

という組織の中で、会田誠氏が作品で「文部科学省に物申す」とやったものだから、クレームを受けた美術館としては館内で判断できずに東京都に判断を仰いだのでしょう。

数日後にはチーフキュレーターがこの件に関して、文書で説明するとのことですが、東京都がどのような理由で文部科学省の顔色を伺って判断をしたのか。ということはおそらく想像の域を越えることはないでしょう。

「今日は無礼講だから」と言われた宴会で、招かれた客人が一番エライ人の批判をしてしまったようなものです。一瞬凍りつく宴会場。現代美術だからといってなにをやってもいい=無礼講。というわけではありません。もちろん会田誠氏もそんなことは心得ています。でも現代美術はギリギリのラインを狙わないとおもしろくない。まして会田誠氏はもともと「取扱注意の作家」と呼ばれているのです。

コレなんか、結構えげつないです。↓↓↓

とれたてイクラ丼(閲覧注意!!)
http://www.mrexhibition.net/wp_mimi/?attachment_id=1415#main

このギリギリ感が現代美術の醍醐味のひとつです。

 

私は現代美術館があれば、立ち寄りたいたちです。
海外ではじめて訪れた都市に現代美術館があれば、半日は時間をつくってウロウロしています。その国の包容力みたいなものも微かに感じ取ることができます。

館内では9割がた素通りです。
そもそもなんだかわけがわからないものばかりの中で、立ち止まりたくなるような作品なんて、そんなにはないのです。

会田誠氏の『あぜ道』という作品。↓↓↓
http://allabout.co.jp/gm/gc/403217/photo/975396/

どこかで見たような記憶があるのですが、これなんか、一瞬「ふふっ」とにやけて、5秒位で通り過ぎるでしょう。私にはおやじギャグ的な作品という感想しか浮かびません。

でも中にそのときの自分の心が揺さぶられるようなもの、おもしろいもの、はじめて体験するようなものがあります。そういう作品との出会いを私は求めています。

24時間その場所にいてもいい。と思うような作品もあります。↓↓↓の記事の中の、『The Clock』という作品。



作品を見て、どう思うかは人それぞれ。作者もどう思われるかなんて予測できません。その意外性がお互いに面白いのが現代美術の楽しみでもあると思います。



今回、上↑↑↑の記事の中で、会田誠氏が問題の作品について意図するところを自ら文字で解説しています。

まるでお笑い芸人の自己解説を聞いているような居心地の悪さ。「ここはこういう意味で笑いをとろうとしてまんねん。」そんな類のことを表現者に言わせるような状況になったことが残念です。

『おとなもこどもも考える ここはだれの場所?』
の展覧会概要には次のように書かれています。

そこに立って「ここはだれの場所?」と問いかけてみてください。答えを探すうちに、たとえば地球環境や教育、自由についてなど、わたしたちがこれからを生きるために考えるべき問題が、おのずと浮かび上がってくるはずです。

出典:東京都現代美術館

芸術に「おのずと」浮かび上がることなんてありません。

ここは安部首相が新国立競技場を白紙撤回したように、舛添知事が撤去要請の白紙撤回をしてくれることを期待します。