パナソニックの電動アシスト自転車ビビチャージ
がなぜ、微妙なポジショニングになったのか?

 

まずはサイトトップページの
ラインナップから復習。

パナソニックの電動アシスト自転車のサイト、
ja.Wikipedia

ビビ・DX(NEW) 106,000円
ビビスタイル・DX(NEW) 108,000円
ビビ・EX(NEW) 132,000円
ビビ・TX(NEW) 85,000円
ビビチャージ・D 122,857円
ビビチャージ・W 157,143円

ビビチャージだけ、価格が微妙。

 

これは5%消費税時代の、
税込価格の名残です。

ビビチャージ・D 129,000円(5%税込)
だったんですね。
8%消費税から、税抜価格表示に変更。
だから、ハンパな数字になってしまいました。

ビビチャージという、回生充電機能が搭載された
画期的な電動アシスト自転車が発表されたのは、
2011年9月、とかなり古い。
その時点から、ビビチャージ・Dはマイナーチェンジ
をしたとはいえ、価格が変わっていません。

本来ならこのような先進的な機種は、
大きな改良を進め、価格も改定して、
刷新していくのが普通。

 

実はビビチャージは、生い立ちが複雑な子ども
なのです。

 

2011年4月、パナソニックは三洋電機を
完全子会社化しました。
三洋電機は、電池分野が伝統的に強く、
エネループという自然放電の少ない
ニッケル水素充電電池の、
白いパッケージを覚えている方も
多いと思います。

320px-Eneloop_AA_ja_on_charger
出典:ja.Wikipedia photo by D.328

得意なエネループの技術を駆使して
開発されたのが、2009年2月に発売された、
エネループバイクです。
前輪にモーターがあり、当初から回生充電機能を
搭載した画期的な電動アシスト自転車でした。
(三洋電機は、電動ハイブリッド自転車と呼んで
いました。意気込みがわかります)

 

ビビチャージは、このエネループバイクを
ルーツにしています。
経営統合に伴い、パナソニック、三洋が、
競合していた分野では、三洋のエンジニアの
パナソニックへの出向、移籍が行われました。

電動アシスト自転車は、まさに競合していた
商品で、三洋からパナソニックへ移り、
パナソニックブランドの商品開発をする
エンジニアの気持ちは、相当複雑なもの
だったでしょう。

 

M&Aなど経営統合により、
双方の得意な技術を持ち寄り、
開発スピードアップが望めます。
ただ、技術というものは、足して2倍以上の
シナジーがすぐに生まれるほど、
単純なものではありません。

技術は、蓄積によって進化するものであり、
その蓄積は、組織のもつ設計思想によって
ドライブされます。
人や技術を表面的に統合することはできても、
この目に見えない設計思想を統合することは、
簡単にはできないのです。

 

次回は、設計思想に着目して、
ビビチャージの微妙なポジショニングを
分析します。