祭りを盛り上げる露店商。
行列のできる露店には、
意識するしないにかかわらず、
技術経営の縮図があります。

前回:たこ焼きの技術に、技術経営の縮図を見た

 

“よりトロットロのたこ焼き生地を開発する”

 

という目標を掲げた、行列のできる露店
白虎亭のおばちゃん。
生地の工夫に加えて、焼きの技術も
高度化したおばちゃんが、
現場に出す前にやるべき課題は、
その技術を露店のオペレーションに
落としこむこと。

試作品の量産化

露店ではたこ焼きの鉄板をいくつも並べて、
同時並行で何十個ものたこ焼きを、
一人か二人で焼いていきます。
粉や玉子、たこなど各種材料の温度管理環境も
劣悪ですし、粉を混ぜる場所も狭い。

たこ焼き屋台2

つまり現場では、
自分一人が整った条件で実現した最高の試作
という段階から、
チームで悪条件の中、大量に作り続ける商品
に昇華させる必要があります。

試作と量産は、世界がまったく異なるのです。

 

たとえば、
おばちゃんが腕を上げて、
粘度の低い生地を丸める技術をどんなに磨いても、
もう一人が同じことができなければ、
露店は回っていきません。

かといって、妥協してしまえば、
今までと変わらないたこ焼きしか提供できません。

 

たこ焼きの売れ方にもムラがあります。
たこ焼きが鉄板に余っていることもときには、
あるでしょう。
そんなときでも廃棄せず、それなりにおいしい
たこ焼きを提供できなければ、
不満足のお客さんを増やしてしまうことになります。

このように試作したときとは異なる能力が
試されることになります。

 

技術の高度化は、机上の高度化に加えて、
量産への適応の試行錯誤まで含めての
マネジメント、つまり技術経営を
考慮していくことが大切です。