「この店のたい焼きは、あんこがぎっしり!」

と評価されている店に行ったら、
実際には言うほどあんこがぎっしりでもなかった。

なんていう経験ないですか?

たい焼き

 

「ここのラーメンはアツアツ!」
「ここのパスタは量が多い!」

なんていう評価も同類ですね。

 

食べ物だけでなくどんな場合でも、
人の意見や評価を参考にするときは、
2種類の「ばらつき」を考慮する必要があります。

 

ひとつは、作るときのばらつき。
たい焼きのあんこをいちいち計量して
つくらないですよね。
一個一個微妙に量が違います。
毎回毎回焼く度に量が変わります。
バイトの人が変わると、量が変わります。

たい焼き鉄板

たい焼きの場合は、作り手が変わったときが、
一番差が大きいでしょうね。
あんこの入れ方も人によって変わってくるので、
同じ量でも尻尾に配分が少ないと、
ぎっしり感が得られない。ということも
あるでしょう。

 
ふたつめは、食べる人のばらつき。
ぎっしり感を感じる尺度が人によって異なります。
どれくらいの量を超えるとぎっしりと感じるのか。
持ったときの重さを重視するのか。
それぞれの人の頭の中に、たい焼きにおける
ぎっしり感の基準みたいなものがあります。
それと比較して、どれくらい離れているか、
を人は評価します。

超ぎっしり!!
すごくぎっしり!
まあまあぎっしり。
ぎっしりではない。
少ない(怒)

 

たい焼きを提供する側がやるべきことは、
この2種類のばらつきを予測して、
なるべくコストをかけずに
ギッシリ感を演出する作り方を
考えることです。

多くの人がぎっしりと感じるあんこの量を
決める。
その量を安定的に提供できるような
仕組みを作る。

 

そうやって工夫しても、
あんこの量にはどうしてもばらつきがでますし、
「ぎっしりじゃない」と評価する人も現れます。

そのばらつきをどこまで減らせるかが
改善活動であり、
あんこの量の中央値、平均値を少しでも
増やすのが企業努力です。

ただし、完璧主義に陥らないことです。
たとえば100人中10人にぎっしりと
思われなくても、よしとする。
それによってコストを下げなるべく
安く提供して、
90人に満足してもらう。
これがデザイン、設計です。

 

ネットでは、自分が気に入らなかったから
といって、酷評する人を時折見かけます。
正直な意見を表明することは、
大切なことであり、批判されることではありません。
でも、「評価には2種類のばらつきがある」
ということをもしも知っていたら、
もう少し違った表現になっただろうな。
と思うことが多いですね。