「試合が盛り上がるボールが欲しい」
そんなリクエストに
あなたならどうやってこたえますか?

 

バレーボール界で世界に誇る
日本の中小企業があります。

FIVB(国際バレーボール連盟)が
北京オリンピック以降、
唯一国際公認球として認めているのが、
ミカサのバレーボールです。

ミカサは、
もともと履物などのゴム製品を
つくる小さな会社でした。

そのゴム製造の技術を、
船舶などの工業用ゴム製品に
応用して、
現在も、水中軸受などの分野で、
国内トップクラスの技術力を
誇っています。

競技用ボールの生産も、
戦後いち早くスタートして、
東京オリンピックからは、
公式試合球として採用され、
世界のミカサとして、
知られるようになりました。

そんなミカサが、
北京オリンピックを前に、
FIVBから受けた要求は、

「試合が盛り上がるよう
ラリーが続くボール」

でした。

1999年までは、
バレーボールは、サイドアウト制
でした。
サーブをしたチームが
勝った場合のみに得点が
入ります。

しかしこれでは、
試合のテンポが間延びする。
試合終了時刻が読めずに、
テレビ放送に向かない。

などの問題があり、
現在はラリーポイント制
になっています。

つまり、サーブ権に関係なく
得点が入るというルールです。

これでバレーボールの試合は、
かなりテンポのよいものに、
生まれ変わりました。

FIVBは、さらに、バレーボールを
メジャーなものにするために、
もっと白熱したラリーの続く、
試合を求めたのでしょう。
FIVBの要求を、ミカサは次の2つに
分解しました。

「素直に飛ぶボール」
「痛くないボール」

長年共同で開発をしている
人工皮革メーカー、クラレが
持つ、ショックを吸収する
クラリーノを活用。

ポリウレタン層を加えた
うえに、ゴルフボールのような
ディンプル加工を施すことで、
空気の流れを整え、
素直に飛んでかつ痛くないボール
を開発しました。

 

バレーボール

 

 

 

 

 

出典:MIKASA MVA200

 

時代に応じて、顧客の要求は
変化していきます。

その変化を、的確に自社の技術に
翻訳して、適応していくことが
求められます。

トップであり続ける企業は、
同じ位置に立ち止まってはいないのです。

ミカサのバレーボールが、
現在のバレーボール国際試合の、
盛り上げりを支えています。