イノベーターの人たちは、なんだかんだ理由をつけて真っ先に最新機種を買ってしまいます。市場の声に耳を傾けて次のモデル展開やプロモーション戦略を立てるときに、このイノベーターが買った理由を分析してもあまり参考にはなりません。なぜならイノベーターは「真っ先に買う」というベネフィットだけに突き動かされていて、買う理由は後付けだからです。
そんなイノベーターの特性が、ドンピシャでよく理解できる実例がこれです!
林信行の実機リポート:
「新しいMacBook」を選ぶ本当の意味
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1503/12/news130.html
出典:Apple
林信行氏はAppleイノベーターのペルソナ=典型的な具体例です。ハイテクの最新商品を売り出すときに、まず買ってくれる人はどんな人か知りたければ、林信行氏を思い浮かべるといいでしょう。まずはイノベーターに買ってもらう。イノベーターだけをターゲットにする。これもひとつの立派なマーケティング戦略です。
このリポートから、イノベーターの特性を表す典型的な表現をいくつか取り出してみましょう。
自分の目を信じる人だけに買うことが許された、久々のMac
Macを使うということは“attitude”――つまり姿勢、態度の表明
未来に一歩を踏み出せる気がした
ほかの人が何と言おうと気にせず、自分の目を信じる
ほかの人たちがやっていない新しいことに挑戦する
自分が信じたモノを使うことで、その先にある次の時代の風景が見えてくる
自分自身がその風景を作り出す一員になれる
最初に飛び出すのには、少しのやせ我慢も必要
自分の審美眼に賭ける勇気を持てる人だけに買うことが許された、久々のMac
製品に合わせて環境を変えることはできる
「不連続な進化」あるいは「次の時代への跳躍」
時代を先取りして、そういうスタイルを提言していく人がいるからこそ、時代が先に進む
less is more
“再発明”
less is more
とか、レイトマジョリティには到底理解できない発想ですね。でもこの発想がないから機能てんこ盛りの使いにくいモノが増えるのも事実。
less is moreをアーリーアダプターがベネフィットに翻訳して、それをアーリーマジョリティーが共感。流行がピークに達したところで、レイトマジョリティーが重い腰をあげる。ラガードはそれを中古で買う。
Appleがまずはイノベーターの心をグッと掴んだのは間違いありません。いきなりアーリーマジョリティー(自称最先端)向けに浮ついた言葉で誘うような商品を出している自称最先端メーカーは、Appleの潔さを見習うべきでしょう。