昭和の大横綱、北の湖が急逝。
謹んでご冥福をお祈りいたします。

 

北の湖の横綱時代は、私の少年時代そのもの。
私のヒーローは輪島でした。
対する北の湖はヒールポジション。

千秋楽、結びの一番がはじまる30分くらい前から、
もう心臓がバクバクし始めたのを覚えています。
輪島の黄金の左腕と一緒に、私の左腕にも目一杯の
力が入ったものでした。

 

白鵬の猫だましに苦言を呈したのが、
北の湖の最後の花道になりました。

北の湖が言いたかったのは、本当は猫だましのこと
ではなかったのでは、と思います。

白鵬の猫だまし、大いに結構ではないか、と私は考えます。
映像を見れば、そのキレのよさは、あの舞の海を超えています。



舞の海もこう言っています。

「いろんな見方で楽しむのも大相撲ですから。
世の中にいろんな問題があるのと同じです。
土俵上は曼荼羅ですから」

舞の海の猫だましはこちら↓



舞の海にしてやられた力士の表情を是非見てください。

「敵ながらあっぱれ」

そういう悟りの表情が見て取れます。

 

今、これほど観客を沸かせる相撲がとれる力士は
いるのでしょうか?

白鵬が問題視しているのは、そこでしょう。
自らヒール役を買ってでて場所を盛り上げようと
しているのです。

 

しかし、白鵬は勝ってからがまったくダメ!!

猫だましで勝ったあと、
栃煌山の肩をポーンとたたき、
子供のようなしたり顔でニヤつき、
懸賞金を受け取ったあと、
ガッツポーズのような仕草をしました。

これらの所作が、武士道の「残心」を大きく外しています。

 

猫だましで勝ってもなお、平静を装うことができたなら、
本当の大横綱と呼ばれたかもしれません。残念です。

口下手な北の湖が言いたかったのは、
そんな大横綱になって欲しいという願いではなかったでしょうか。

「残心」とは↓

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