エビスビール

唯一のプレミアムビールでした。

学生時代に粋がって、
「やっぱりエビスは別格」
なんてほざいていました。

高くても売れる。
高いから売れる。
そういうポジションでした。

 

今はそのポジションに、
ザ・プレミアム・モルツ
がいます。

サントリーは、ビール全体では
シェア3位ですが、ことプレミアムビール
に関しては、圧倒的な1位です。

プレミアムモルツ
出典:ザ・プレミアム・モルツ

元は1989年の、
「モルツ スーパープレミアム」
という業務用樽生ビール。
2005年に中瓶でモンドセレクション
最高金賞を受賞してから、
人気が沸騰しました。

 

この時のことは覚えています。
なかなか手に入らないような
状況が続いていました。
そしてやっと手に入れて、
飲んでみると、「うまい!」。
最高金賞という刷り込みが、
あったことは大きいですが、
何度飲んでもやっぱり、
「うまい!!」

美味しいから、売れたのです。

では、

美味しければ、売れるのか?

 

残念ながら、ノーです。
人通りの多い道に、
「のぼり旗」を立てなければ売れません。

ターゲットを絞って、
ターゲットに向けたメッセージを決める。

その時のプレミアムモルツの「のぼり旗」、
キャッチコピーは、

『最高金賞のビールで最高の週末を。』

つまり、プレミアムモルツは、
「週末」という時間でセグメントして、
ターゲットを絞ったのです。

 

発泡酒がビール市場を侵食、
2003年の酒税法改正で発泡酒の税率が
引き上げられれば、次は第3のビールが登場。
ビール市場は低価格化が一段と
進んでいました。
この時、日本はすでに10年を失っており、
労働者の財布の紐は、
どんどんと固くなっていきました。

だからこそ、
「週末」くらいは少し贅沢したい
という渇望感に、
プレミアムモルツのメッセージが
ぴったりと染み込んだのです。

 

2012年、
エビスビール 945万ケース
プレミアムモルツ 1655万ケース

プレミアム商品が美味しいのは当たり前。
「のぼり旗」を立てましょう。