オープン価格
買う側からすると、
さっぱりわからない価格ですよね。
「で、結局いくらなの?」
ってなりますよね。
資本主義は自由競争。
価格は、売る側が統制するものではなく、
自由競争の中で、
需要と供給のバランスで決まるもの。
だから、オープン価格は、
消費者の利益にかなう。
というのは建前で、
オープン価格は、
実は売る側の都合に合わせた制度なのです。
元々、メーカーは希望小売価格を、
設定していました。
これはわかりやすいですね。
いわゆる定価ってやつです。
しかし家電量販店が巨大化するにしたがい、
バイイングパワー(大量発注)を活かして、
新製品が出てすぐに
2割引き、3割引きが、
当たり前になりました。
八百屋のきゅうりで、
3割引!!
きゅうり2本で70円(定価100円)
貼られているようなものです。
定価100円ってなんなの?
定価っていうのは、3割引で安くみせるための、
げたをはいた価格なんじゃないの?
ってなりますよね。
最近ありましたありました。
楽天優勝セールで、
77%オフ!!
シュークリーム10個で2600円!
(通常販売価格1万2000円)
こういうのを二重価格と呼びます。
景品表示法で二重価格は禁止されています。
公正取引委員会は、二重価格を問題視し、
基準を設けました。
市場の半分以上で2割引以上されている場合は、
二重価格とする。
(実際にはかなり複雑なルールです)
そこで1990年代から家電で急速に増えたのが、
オープン価格
なのです。
定価がないのですから、2割引以上という基準に、
抵触しないですね。
1992年に家電製品の20%程度だった、オープン価格製品は、
2004年以降90%を超えるようになりました。
しかし家電メーカーにとって、
このオープン価格が落とし穴だったのです。
希望小売価格が決まっていて、小売への卸売価格が○○%と決まっていれば、
そのマージン内で、小売のリスクで値引きすることになります。
定価100円、メーカーから小売へ定価の50%で卸す。
小売が2割引で売ろうが、3割引で売ろうが自由。
ところがオープン価格では、そもそも定価がないので、
卸売価格が定価に対する割合で決まっていません。
大手量販店は、バイイングパワーを振りかざして、
販売額から一定のマージンをメーカーに要求するように
なりました。
これがメーカーの利益率を圧迫しました。
販売額70円のきゅうりに対して、八百屋の取り分が20円。
値下げして60円になっても、八百屋の取り分が20円。
しわ寄せが生産者、メーカーにいくのは当然です。
やがて値下げ合戦で、メーカーは赤字を出し始めました。
つまり、メーカーに限界が来て、
量販店の取り分を一定にすることはできなくなりました。
そしてネット販売との戦いで、さらに値下げ合戦を
強いられた量販店は、自らの利益を食いつぶして、
自分たちもついには赤字になったのです。
参照:
ヤマダ電機がはまった値引き販売の罠
ヤマダ電機の赤字転落から学ぶ、きゅうりの販売方法
それにしても、
日本の家電メーカー、
すっかり元気ないですね。
見かねた経済産業省は、
メーカーによる価格指定ができるよう
動き始めました。
しかしそれはそれで、問題があるのです。
それはまた次回。
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