アコースティックギターは、家で弾くと結構やかましいのですが、ホールなんかでソロで弾くと楽器としては音量が小さく迫力に欠けます。

そこでボディーにピックアップをつけて電気的に増幅すればいいじゃん、となったのが1930年代後半だそうです。ただこのやり方だと、アンプで増幅された音をギターのボディーが拾って、ピックアップを介して正帰還ループができてしまい、いわゆるハウリングが起こりやすい。

それじゃー、ということで、ボディー自体を固い一枚板にしてしまって、弦の振動を直接ピックアップすればいいじゃん、となったのが、現在のエレキギターの原型となりました。1949年に発表されたフェンダー・エスクワイヤーが商品化第1号といわれています。

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Fender Esquire photo by FlickreviewR

弦の振動だけ拾うのなら、ボディーの材質はどうでもいいか、というとそんなことはありません。ピンと張った弦の振動は、その土台と相互に影響しあっています。

楽器というものは、その根本原理は「共鳴」です。

弦の代わりに、振動源をデジタルで置き換えた電子楽器の音に「味」が物足りないのは、この「共鳴」という相互影響のプロセスが緻密に再現できていないからです。

エレキギターの音を、どんなに加工してもアコースティックギターの音にはなりません。そのかわりエレキギターは、比較的シンプルな振動を電気信号に変換することで、その後のエフェクトの自由を手に入れました。それによって音楽表現の幅は飛躍的に広がりました。