そもそも家でまったく食事をしない人、少なくないでしょう。
かつて私も独身時代、会社の寮4畳一間の部屋に寝泊まり。残念ながら料理をつくる環境にはありませんでした。大好きな吉野家で特盛を食べればお腹は満たされましたが、「野菜を食べなければ、、、」という強迫観念にも似たプレッシャーがいつも頭の中に渦巻いていました。

そんな人のために、吉野家は昔からサラダをメニューに加えていました。独身らしき人が牛丼に追加して注文している光景をよく見かけました。

「野菜を食べなさい」
今も聞こえるおふくろの声♪

これが強迫観念の正体です。

 

そんな外食中心の生活者心理に、ど真ん中で勝負してきたのが吉野家の野菜たっぷりベジ牛。11種類の温野菜で一日に必要な野菜の半分を摂れる量。彩りも赤、黄、緑、白と鮮やかで食欲をそそります。

ベジ丼ポスター
出典:吉野家

 

問題は味ですね。昔から吉野家は牛以外はイマイチの常習犯です。牛だけを追求してきた歴史があまりにも長く、すき家、松屋に牛以外で勝てる風土を持ち合わせていません。ですから正直、最初のベジ牛に過大な期待は持っていません。

これは吉野家新社長になって、最初の大きなチャレンジです。これから新しい吉野家を創っていこうとする意欲作。吉野家がこれから大事にしなければならないのは、第1弾の成功ではありません。温野菜という新たなメニューに対して、いかに改善のフィードバックループを回していくか。が最も大事です。野菜の調達、物流、調理、メニューなどあらゆる局面で、吉野家にしかできない工夫をし続け、極めることです。

 

かつて吉野家は牛丼単品勝負で、細部に渡るまでこだわりにこだわり抜いてきました。だからこそBSE問題のとき、豪州産の牛肉には手を出さなかったのです。また、店のオペレーションを秒単位で短縮。足の動かし方まで研究していました。

吉野家の強みはこのこだわりと追求の姿勢にあります。是非とも3年後に温野菜でナンバーワンになってください。