商品の販売ルートを単純化すると、
次のようなモデルになります。

メーカー ⇒ 卸 ⇒ 販売店 ⇒ 消費者

さらに役割で単純化すると、

作る人 ⇒ 売る人 ⇒ 買う人

になります。

 

直販は、「作る人」と「売る人」が同じ場合です。
直販では顧客=「買う人」です。

直販でない場合、
「作る人」のお客さんは「売る人」ですから、
「作る人」の顧客は「売る人」です。
そして「売る人」の顧客は「買う人」。
この場合、「作る人」にとって「買う人」のことを、
「顧客の顧客」と呼びます。

変な言い方ですね。

ただの「顧客」でいいじゃないか?
と思いますが、わざわざ「顧客の顧客」と
呼ぶ場合、深い意味があります。

それは、「顧客の顧客」の考えていることと、
「顧客」の考えていることは違うよ。ということを、
強調したい場合です。

 

男の子が必ず一度は夢中になるロングセラー、
タカラトミー(旧トミー)のプラレール。
1950年代プラスチックが国産化するまでは、
鉄道のおもちゃといえば、ブリキなどの金属で
作られていました。

トミーは、プラスチック製で簡単に連結したり
外したりできるレールの鉄道おもちゃを
1959年開発、販売しました。

プラレール山手線
出典:タカラトミー 最新型山手線

卸業者は、「枕木のないレールなんて売れないよ」
とトミーに忠告しました。
そして実際、売れませんでした。

トミー ⇒ 卸業者 ⇒ おもちゃ屋 ⇒ 学童

 

ここで、
ああ、やっぱり顧客(売る人)の言うことには一理ある。
と考えて、枕木にこだわった開発をしていれば、
今のプラレールはなかったかもしれません。

学童(買う人)にとって
課題はそこではなかったのです。
プラレールの初期は、汽車にモーターがない
手押しのおもちゃでした。
2年後、単2電池とモーターで、汽車が自走
するようになってから、プラレールは
売れ始めました。

また、架空の汽車だったデザインを、
現実の列車のデザインに変えてから、
販売に勢いがつきました。
その先駆けが、1964年夢の超特急ひかり号です。

 

私もプラレールのひかり号を持っていました。
現代で言えば、ロケットに乗りたいなぁ。
という夢と同じくらい、
いつかは乗ってみたい夢のひかり号でした。

ましてや枕木があるとかないとか、
考えたこともありません。

 

今までにないモノを開発するときに、
顧客の言う「売れる」「売れない」という意見を
鵜呑みにしてはいけません。
もちろん流通を熟知している貴重な意見を
無視してはいけません。
ありがたく拝聴したうえで、
顧客の顧客、
つまり最終ユーザーにとってどうなのか?
ここにフォーカスしましょう。