欧州向けに製品を輸出しようとすると、
やっかいなのが、
たくさんの言語に対応しなければ、
ならないことですね。

 

学生から社会人になる直前、
はじめて欧州を旅したとき、
こんなことがありました。

 

なんとなく、英語でなんとか
なるだろうと考えていたのですが、
ポーランドの街で、
ただ「ビール」と言いたいだけなのに、
まったく通じない。

かならず、
「ドイツ語は話せるか?」
「ロシア語は話せるか?」
と聞かれて、

「どちらも話せない」

と言うと、相当あきれた顔を
されました。

両大国に挟まれたポーランドの人に
とって、その歴史から考えても、
自分たちの言葉以外に、
最低でもどちらかの言葉は、
使えるのが当たり前なのです。

英語のような離れた国の言葉は、
知る必要がなかったのです。

ビール

またドイツからスイスを抜けて、
イタリアに向かっているときのことです。

列車のコンパートメントで、
スイスの高校生と仲良くなりました。

彼は英語があまりうまくなく、
私のへたな英語とちょうど、
つり合いがとれて、
会話も弾みました。

いろんな話をしていると、

彼「大学院まで出てるんだったら、
第2外国語は習っただろう?」

私「ああ、ドイツ語だった」

彼「なんだ、早く言ってくれよ。
最初からドイツ語で話せばよかった
じゃないか」

私「いやいや、ちょっとまて。
ドイツ語は話せないんだ」

彼「???」

彼にとっては、ドイツ語とイタリア語は、
流暢に話せるが、英語はあまり使わない
ので苦手。

スイスの高校生は3か国語くらい話すのは
当たり前。ということでした。

それ以降、彼の私を見る目が、
「バカな大学院生」
となったのは仕方のないことでした。

 

インターネットの普及で、
相対的に英語のパワーが強くなった
とはいえ、欧州向けには、
各国の言葉の数だけ、
取扱説明書も用意しなければ
なりません。

日本、韓国、中国向けの製品に、
英語の取扱説明書だけでは、
通用しないのと同じですね。

取扱説明書というのは、
本を製本するほど、りっぱな設備は
必要ないけれども、
欧州では、複数の言語に対応するため、
多品種少量の製本に対応が必要です。

 

この多品種少量の製本で、世界シェア80%
をもつ日本の会社があります。

明日は、その会社を紹介します。

 

パンフレット直販と内製化にこだわる、太陽精機