高円寺の紅茶専門店、G clef(ジークレフ)。
ふらりと立ち寄ったら、すかさず紅茶の試飲をいただきました。
紙コップではなく、かなり舌触りのよい器。
丁寧な店員さんの説明を聞きながらいただくと、なかなかの美味しさ。
たいていこのパターンは、多くの人が警戒感マックス。
なにか売りつけられるのではないか?
どうやって断って店を出ればよいか?
そんなことを考えるはずです。
それほど、このような買う前のサービスは意図が丸見えで、
今となっては高等技法になりました。
まったく紅茶を買うつもりのなかった私達。
結局普段は絶対に手を出さないような価格の紅茶セットを購入しました。
店員さんの勝因はなんだったのか?
それは店員さんがまったく売り込まなかったこと。
喫茶店から転職したというその店員さんは、
どうしてコーヒー好きから紅茶好きに変わったのか?
紅茶の楽しさ。奥深さ。
を淡々と話してくれました。
来店したお客さんにサービスすれば、一種の貸しをつくることになり、購買率が上がる。というのは心理的にも統計的にも説明できる効果です。しかし実売につなげるには、その後の対応が決め手になります。貸しがあるからプレゼンのチャンス到来!とばかり攻めてしまっては、お客さんはかえって引くばかり。サービスしたうえで、一歩引く。そうすると逆にお客さんのほうからなにか質問してもらえるものです。そして質問されたことにだけ誠実に答え、決して売り込まない。余計なことをペラペラしゃべらない。そうやってじっくりとお客さんとの距離を詰めていく。実売は結果です。目的にしてしまっては、勘ぐられてしまいます。
「買います。」と言ってから、包装を待つ間、「ちょっと飲んでいかれますか?」と、
購入した3種類の紅茶すべてをベストな状態で飲ませてくれました。ちゃんとした紅茶カップで3種類出てきた時には、驚きました。「”ちょっと”じゃないんかい!?」と。
買う前のサービスに力を入れているお店で、買った人にさらにサービスするお店はなかなかありません。「釣った魚に餌はやらぬ」という慣用句もありますよね。でもこれは間違い。買う前のサービスは新規顧客獲得のため。ハードルは高い。買った人へのサービスは、リピーター獲得のため。ハードルは新規顧客獲得に比べて格段に低いものです。
淹れた紅茶の葉っぱを見ながら美味しい紅茶を飲んで、さらに紅茶に対する知識を深め、ポイントカードをつくってもらって帰りました。お店の術中にズッポリとハマるのも、たまには楽しいものです。(^^)