東洋水産は袋麺の正麺で革命を起こしたといわれていますが、袋麺市場はカップラーメン市場の3分の1。インスタントラーメンの主戦場はカップラーメンです。そしてカップラーメンの横綱は日清です。
袋麺「マルちゃん正麺」で「生麺うまいまま製法」を開発した東洋水産は、当然ながら正麺のブランドでカップラーメンの開発を急ぎました。
袋麺の麺をカップに入れるだけ。
と、そう簡単にはいかないから商品開発はおもしろい。「茹でる」と「熱湯を注ぐ」には、熱量に大きな差があります。袋麺に熱湯を注ぐだけでは、麺がアルファ化せず、「生麺うまいまま製法」は通用しません。
「生麺うまいまま製法」は、生麺を蒸さずにそのまま一気に乾燥させる特許技術。従来の蒸すノンフライ麺製法とは次元の違う食感を実現しました。東洋水産はカップ麺のために、茹でて乾燥させる製法を新たに開発しました。それが、4年の研究を経てようやく完成した「生麺ゆでてうまいまま製法」。
その新しい製法でつくられた「マルちゃん正麺カップ」は昨年10月に発売直後、横綱日清の売上を抜きいきなりトップシェアに躍り出ました。その後も順調に販売を伸ばしています。
私も発売してすぐに「マルちゃん正麺カップ」試してみました。袋麺の正麺の出来があまりにも素晴らしいので、正直正麺カップの麺は残念でした。生麺をそのまま乾燥させた技術が正麺のキモですから、茹でて乾燥させた正麺カップの麺が、袋麺とはまったく異なるのは当然の結果ですね。それでも「マルちゃん正麺カップ」は売上を伸ばしているのですから、いったんできあがったブランドイメージがいかに強力かがよくわかります。
日清のカップヌードルには独特の「カップラーメンとしてのうまさ」があります。生麺風はそれとは逆行する基軸ですが、日清は「ラ王カップ」でその軸でしっかり正麺の攻勢を受けとめています。
機動力の東洋水産は、正麺のブランドに安住せずチャレンジを続けて、カップラーメンの麺にさらなるイノベーションをもたらすことを期待しています。
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