永谷園のお茶づけ海苔。何度食べても飽きない味。特徴はカリカリっとしたあられです。お茶づけにおかきやあられを入れるのは、もともと京都の風習でした。あられと海苔を入れた永谷園の即席茶づけは大成功しました。小袋の中の湿気をあられが吸収するので海苔がパリパリのまま、という一石二鳥のアイデアでした。
江戸時代から煎茶を販売していた永谷園。戦前ユニークな9代目が細かく切った海苔の入ったお茶を「海苔茶」と名づけて売り出しました。これが「お茶づけ海苔」の原型です。戦後、永谷園は一旦看板を下ろすところまで苦境に陥りますが、10代目は「海苔茶」をただのお茶ではなく、ご飯にかけて食べることを思いつきます。地道な試食販売の繰り返しが功を奏し、ヒット商品に。
発売当時のパッケージ 出典:永谷園
お茶づけ海苔のアイデアの背景にあるのは、
1.お茶から離れない
2.父親(9代目)のユニークさを受け継ぐ
3.看板を下ろしたという逆境
一般化すれば、
1.変えてはいけないもの
2.変えることを厭わない姿勢
3.逆境
変えてはいけないものがあって、変えることを厭わない、というのは一見矛盾しているようですが、例えばこういうことです。
植木の剪定は、芽が出る前の季節に不要な枝をばっさり根本から切ってしまうことが大事だそうです。
1.枝ではなく幹を切ってしまったり、
2.チマチマと枝の先ばかり切ったり、
3.春が来る前に何もしない
のは、植木の成長を止めてしまいます。
1.しっかり幹を活かし、
2.ばっさり枝を落とし、
3.次の成長に備える
ことが新しい局面を切り開きます。