ロンドン市内の自転車に乗る人の数が15年で3倍になり、車の数は半減したそうです。
15年という長いスパン、ロンドン市内の車と自転車の数という壮大な規模。
戦略の実践とは、まさにこんな事例のことをいうのでしょう。
この事例で戦略について考えてみましょう。
まず、わかりやすいビジョンがないと戦略の立てようがありません。
ロンドンを環境に優しい都市にし、市民を健康にする
これがビジョン=未来のなりたい姿です。
その姿になるためには様々なやり方があるでしょう。
数ある筋書きの中に、
A.市内の車を減らす
B.自転車人口を増やす
というふたつのオプションがあります。
これがビジョンを実現するために戦略オプションです。こういった大きなビジョンや戦略を立てることができるのは、この場合、政治の場しかありません。
さて、政治が戦略を決めたら、役人はどうするでしょうか?
たとえば、B.自転車人口を増やす。といってもなにからどう手をつければよいでしょうか?実際にどうすればよいか?は政治家からすれば戦術という言い方ができるでしょう。しかし役人にとっては、自転車人口を増やす、ということは大きなビジョンでもあります。
そのビジョン=未来のなりたい姿になるためには様々なやり方、筋書きがあるでしょう。それらは役人にとっての戦略オプションです。そしてその戦略オプションを実現するための具体的な方法が役人にとっての戦術です。
このようにビジョンと戦略は入れ子構造になっています。
そして立場が違えば、なにが戦略かも違ってきます。
『誰でもできる戦略思考』では
戦略とは、
未来のなりたい姿にむかって、
ある環境で一定期間継続する、
ヒトの活動の、大枠の変革の筋書き
と定義します。
私が経営学で最も信頼する伊丹敬之先生による定義は、
…
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