世界初の事務処理用コンピューターソフトウェアは、COBOLであると言われています。1959年に誕生したCOBOLは、いまだにメガバンクや政府機関で使われているという点で、他の初期のプログラム言語とは一線を画しています。
このCOBOLを開発したのが、グレース・ホッパーというアメリカ海軍の女性です。女性初の数学の博士号を取得した彼女は、海軍で船舶用電子計算機のプログラム開発に携わりました。日本の終戦の1年前、1944年のことです。この頃の電子計算機は、足し算、引き算が1秒間に3回。プログラミングはテープに穴を開けて演算命令を指示していました。オルゴールと原理的に同じですね。
Grace Hopper (Wikipedia)
プログラムにはループという繰り返し演算命令が必須ですが、この時代のループ命令は実際にテープの始めと終わりを繋げてループ状にして実現していたそうです。オルゴールであれば、同じ曲を繰り返し演奏するにはそうするのが一番ですね。そういえばカセットテープの時代、エンドレステープというのがあって同じ発想でした。竿竹売りや焼き芋屋が使っていました。
グレース・ホッパーは、プログラム言語に対して、
「英語に近い言語によってプログラミングできるようになるべきである」
と、当初から画期的な理念を貫き、世界初のコンパイラ言語を開発しました。
これがCOBOLの土台になりました。
私もソニーで、初期の仕事として、オーディオ用のDSP(デジタル信号処理プロセッサー)のプログラム言語開発を必要に迫られてやった覚えがあります。やっぱり自然言語的なコンパイラをつくるのが、その後の展開を考えると楽でした。
プログラム言語は、「楽」で「楽しく」あるべきですね。
ソフトウェアやアプリも結局、そういうことです。
そのうち、プログラム言語という概念は古くなって、
やりたいことを話し言葉で命令すれば、
いうことを聞いてくれるようになるでしょう。
まだまだ人類はコンピューターを使いこなし始めたばかりです。
100年後はきっと、私達がエンドレステープを懐かしむように、
今の時代を滑稽に思うに違いありません。
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