二重プロセスモデルとは
ヒトが意思決定するときに、
つぎの2種類の思考システムが、
同時並列的に働いていると考える
モデルです。
システムⅠ:
直感的、感情的に、
目の前の利益を優先
分析的、合理的に、
長期的な視点での利益を優先
悩んでいるときには、
まずシステムⅠが働きます。
そしてそれをシステムⅡがサポート
しようとします。買う理由を探す。
というやつですね。
そして、いよいよ買おう。というときには、
またシステムⅠによって、
えいやっ!と決断するのです。
たとえば、
新幹線のホームで、
1000円の柿の葉ずしの隣に、
350円のおむすび2こセットが
並んでいるとします。
出典:総本家 平宗
新幹線は、普段の通勤とは違う、
プチハレのイベントですから、
システムⅠが
「ここは普段食べない柿の葉ずしでしょう。」
と自分にプッシュしてきます。
しかし次の瞬間、システムⅡが、
「冷静に考えると、新幹線ごときで、
プチハレでもないだろう。柿の葉ずし
8個で1000円は、コストパフォーマンス
悪い。小腹を満たすには350円の
おむすびセットで十分だ。」
と語りかけてきます。
と考えている間もなく、発車時刻が
迫ってきます。
「これから2時間もじっとしているわけだ。
最近の新幹線のシートはゆったりしているし、
窓の景色でも眺めながら、
ゆっくり柿の葉ずしを味わうのも、
悪くない。最近忙しいのだから、
これくらいの贅沢は、許されるはずだ。
ついでにビールも買っちゃえ!」
と最終的にはシステムⅠが、
訳のわからない理屈をこねて、
論理的、合理的思考をはねのけて
しまうのです。
もちろん350円のおむすびを買う。
と決断する場合もあります。
その場合は、
「ん~、ちょっと今回は節約しておこう」
とシステムⅠで直観的に最終決断することが、
多いのです。
決して、今月の家計の収支と、
将来のための貯蓄から考えて、
1000円の贅沢のコストパフォーマンスを
検討したうえでの合理的判断では
ないのです。
つまり、モノを購入するときは、
合理的な思考をしているようで、
意外とシステムⅠの、
感覚やフィーリングが、
決断に対して影響力が大きいのです。
これは、さまざまな研究からも
明らかになっています。
ところが、多くの
直販サイトをのぞいてみると、
ヒトのシステムⅡに訴える項目ばかり
が目につきます。柿の葉ずしでいえば、
本物の柿の葉を使用
国内産の米
無添加の醤油
8個入り
並んでいるようなものです。
成功している直販のランディングページは、
圧倒的にシステムⅠに訴えかけています。
そしてしっかり中盤以降で、
その合理的根拠を説明し、
システムⅡに訴えます。
そして最後に、また、
「今すぐクリックを!」
とシステムⅠに訴えるようになっています。
次回は、システムⅡより、システムⅠに
訴えるほうが、効果的だということを、
二重プロセスモデルとは、
別の言い方で、説明しているTED Talk
をご紹介します。
ヒトがなぜアップルの製品を買うか。
を見事に解き明かしています。