他国の食べ物や、他国の文化に口を出すのはどうか、と思う派です。感想を述べるのは自由ですが、現場にやってきて恫喝まがいの行為を行うのは、視野が狭いとしか思えません。

クジラやイルカがかわいそう、というなら牛やニワトリはどうなんだ?

単純にそう思います。

 

でも、この写真を見て、「クジラやイルカがかわいそうだから捕まえないで!」と言いたくなる人の気持ちに共感できました。だからといって「ほっといてくれ」という考えは変わらないのですが。

このキャプチャーは、伊良部島イラブルーツアーズfacebookページからの引用です。

イラブルーツアーズ

獲ったどぉ~!! ってオレじゃないけど(^_^;)デカイ!

情報源: 伊良部島 イラブルーツアーズ – タイムラインの写真

 

知らない人には、南洋の鮮やかな色の巨大な魚が釣り上げられためずらしい写真にしか見えません。

しかし、レジャーダイバーにとってこの写真は衝撃的です。
たとえて言えば、忠犬ハチ公が生け捕りにされて吊るされている図を見るような居心地の悪い感覚。

ダイバーの間では「ナポレオン」という愛称で親しまれるこの巨大な魚メガネモチノウオは、世界各地のダイビングスポットで餌付けされていることが多く、ダイバーに人懐っこく近づいてきます。くりくりした目をキョロキョロさせて実に愛らしい魚です。

せっかくの大自然の海中で、餌付けされた魚が人間に近寄ってくるさまは、かなり残念な光景で私の好みのダイビングスタイルではありません。それでも動物園のパンダを見て誰でもかわいい、と思うように、ナポレオンはなかなかのかわいい奴なのです。

そんなクリクリ目のかわい子ちゃんが、松方マグロのように「獲ったどぉ~!!」とぶら下げられている光景は、レジャーダイバーにとって悪夢です。

 

とはいえ、この漁師さんを責める気持ちは私にはありません。ただ、私にとって居心地の悪いザラザラした感覚が残るだけです。2004年にメガネモチノウオは絶滅危惧種に指定されました。香港では立派な食用だそうです。

捕鯨やイルカ捕獲に反対する人たちも、そういうザラザラした感覚を発端として、対外的な行動にエスカレートしているのでしょう。クジラやイルカに対する日本文化に対して、「ほっといてくれよ」という私のスタンスは変わりません。「有難くいただく」という日本の文化を理解してくれよ、とは思いません。が、そういうザラザラした感覚は、対象と立場を変えると誰にでも起こりうることだ、ということはお互いしっかりと共有しておきたいですね。