イチロー、松井、落合が全幅の信頼を寄せた
バット職人、久保田五十一さんが引退されました。

久保田さん 出典:2014年1月29日読売新聞

本当にお疲れ様でした。

 

「このバットは呼吸している感じがする」

と松井に言わしめた名人、久保田さんのバット。

 

でもはじめから久保田さんは、名人で
あったわけではありません。

 

52歳のとき、
現役の落合が2本のバットを持って、
久保田さんを訪ねてきました。

「一本のバットのグリップが細い」

といわれて測ったところ、
0.2mm細い。

老眼のせいでした。

 

しかしこの話はここからが大事なのです。
久保田さんは落合に率直にこう質問したのです。

「0.2mmの誤差がなぜダメなんでしょうか?」

このような質問を投げかけることのできるベテランこそが、
名人と呼ばれる領域に到達できるのでしょう。

落合は、バッティングのメカニズムを丁寧に説明
したそうです。そして重大なヒントを久保田さんに
与えました。

「バットは棒じゃない。ムチのように使うんだ」

職人と職人の共鳴ですね。

 

フィードバックを活かせるものだけが、
改善と蓄積の階段を上ることができます。

そして名人の領域に達した久保田さんがつくるバットは、
魂があるから呼吸するのです。

 

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