イギリスのアーティスト、リチャード・J・エヴァンズが、ジブリ映画を8ビット化したトリビュートアートが話題になっています。
Richard J. Evans
http://virates.com/cool/0312070
(別画面で開きます)
出典:Richard J. Evans
画素が極端に荒いし、色数も少ない(8ビットだから256色)。それでもジブリの温もりのある世界観を表現できているのが驚きです。ある程度はアルゴリズム化して元の絵の画素を落としていけますが、ほとんどが手作業です。こんな荒いドッドの連なりで、微妙な直線を引くのは至難の技です。ですからこれはアートなのです。事実この作品群は一週間半という制作時間がかかっています。
実は、現在の液晶テレビも、大雑把に言えばこのアートと同じ作業をすることで、「キレイ」に見える映像を映しだしています。アーティストや職人の技を、デジタル処理のアルゴリズムに落としこんで、自動化して、リアルタイムに映像処理しています。液晶テレビも所詮はブツブツの集まりですから、こういう職人技が効果があるのです。
しかしそういった苦労も、おそらく8Kテレビになるとほとんど必要なくなると私は予測しています。
たとえば、この動画。
NHK技研の8Kテレビ、シャープと共同開発です。
大画面がここまで細かくなると、なにも処理しなくてもどんどん見たままの自然に近づき、そのままで奥行感や立体感を感じるようになります。
この動画のおもしろいのは、パソコンで見ている私達は、解像度の低いYouTubeなのに、ある程度の立体感を感じることです。つまり元の素材の情報量が極めて重要なのです。元の絵に存在しないものを創りだすのは、ギミックです。そうではなく、元の素材からいかに引き出すかが、問われるわけです。
8ビットジブリアートを見て、「いいな」と思えるのは、「元」がいいからに決まっています。
8Kテレビになると、テレビメーカーはますます職人技で勝負できなくなります。しかしどこまでいっても人間技が便りにされるのは、入り口の撮影技術。どんなすばらしい素材を、うまい切り口で切り取ってくるか。ここにかかっています。