YKKといえば、ファスナー。
ファスナーといえば、YKK。

ファスナー
出典:YKK

世界でファスナーで、45%のシェアを持つYKKは、2位以下のシェアが10%以下という、圧倒的世界ナンバーワン企業です。

もともとファスナーは1891年、アメリカ人の発明で、戦前には生産は機械化されていました。一方の日本は、戦前、手作業でファスナーのひとつひとつの歯を植え付けて製造していました。YKKもその中の一企業でした。

戦後、YKKの創業者吉田忠雄は、アメリカから4台の生産機械を1200万円で輸入。日本の精密機械メーカーに同じ機械を100台、1200万円で発注しました。これがYKK躍進の原点です。独創的でもなんでもなく、コピー。

現在YKKの高いシェアを支えているキモは、同じく生産機械にあります。生産機械を完全に内製化し、かつ一台たりともその機械を外部には出さないのです。さらに当初から原材料のアルミ合金、糸の生産から、板金、布の2次加工、その生産機械にいたるまで、あらゆる工程を内製化し、自社垂直統合を徹底していました。

そしてそのノウハウを、60カ国以上の海外現地工場で展開しています。ファスナーのような、繊細な品質を求められるノウハウの塊を、あらゆる工程で技術の蓄積フィードバックを社内に還流させるように内製化することで、他社がまったく追いつけない状況がつくりだされているのです。

シャープは、世界の亀山工場をブラックボックス化して、液晶テレビの製造ノウハウが外部に漏れないような秘密主義をとりました。しかし残念ながら液晶テレビは、垂直統合型ではなく、典型的な水平分散型の部品の集合体です。あらゆるメーカーのキーパーツの組み合わせであって、液晶技術はその中の一部分でしかありません。YKKとは違ったわけです。