オーナーというと、絶対的な裁量を持つ
権力者というイメージがあります。

店長はオーナーに頭が上がらないですし、
社長と名がつく人でも、
場合によってはオーナーの手のひらの上
ということもあります。

 

コンビニオーナーはどうでしょうか?

この記事(ブラック企業より恐ろしいフランチャイズ)
によると、
コンビニオーナーは、オーナーとは名ばかりで、
裁量のないフランチャイジー(フランチャイズされる人)
であるがゆえに、
厳しい立場にあるようです。

 

自社と他社、ステークホルダーとの関係を
整理する便利なフレームワークとして、
5Force分析(ファイブフォース分析
があります。

元々は業界分析のためのツールでしたが、
経営戦略を立てたり、新商品開発戦略を
立てるうえで、自社の立ち位置を明確にするにも、
とても使い勝手の良いフレームワークです。

 

たとえば、小規模の下請けメーカーであれば、

内的要因
1.供給企業:部品、材料メーカーとの交渉力
2.買い手:発注元企業との交渉力
3.競合:競合下請けメーカーとの競争力
外的要因
4.新規参入企業:ベトナムの参入メーカーの脅威
5.代替品:下請けの内製化の脅威

などに整理され、それぞれの要因を、
分析するわけです。

 

とあるセブン-イレブンのコンビニオーナーの立場は、
どのように整理できるでしょうか。

コンビニ

1.供給企業:フランチャイザー(セブンイレブン本部)
2.買い手:半径500mの住人、店の前を通る人
3.競合:ローソン、ファミリーマート
4.新規参入企業:24時間スーパー
5.代替品:100円ショップ

業界分析ではないので、
たとえば近所に24時間スーパーが
できたとして、それをその店の
新規参入企業として整理します。

 

フランチャイズでなければ、オーナーは、
買い手を分析して、競合や新規参入企業、代替品
に対して、強みを発揮できるような
戦略、戦術を立てることになります。

コンビニのオーナーはどうでしょうか。
どんな手を打つことができるでしょうか?

まず価格決定権がありません。
安売り販売も許されません。
仕入れ価格の交渉権がありません。
独自のプロモーションも許されません。
商品開発なんてできません。

できることは、商品の仕入れ選別です。
セブン-イレブン本部は、オーナーに
そこを期待しているでしょう。
オーナーこそが地元の顧客をよく
知っている。最も効率よく仕入れを
行い、ロスを減らせるのはオーナー
しかいません。

昨今、スーパーの売場担当者でさえ、
価格決定権や安売り販売のコントロールを
任されている時代です。
お惣菜の新商品開発までも任されるかも
しれません。

コンビニオーナーは、それらはできずに、
ただ仕入れのコントロールだけで、
売上をアップしていかなければなりません。

 

ファイブフォースのうちの、
1.供給者:フランチャイザー
との交渉力が、あまりにもフランチャイザー側に
偏っていると指摘されています。

今回具体的に問題に上がったのは、
会計はすべてフランチャイズ本部が行い、
オーナーは仕入れ価格すら知らされず、
本部の言い値の報酬を受け取る。
という実態です。

これでは名ばかりオーナーで、
裁量は普通の店の店長以下ですね。

 

フランチャイズはノウハウのない
オーナーでも、収益があげられる
という仕組みなので、
裁量権が制限されるのはある程度
仕方ないことではあります。

ただし現場のモチベーションが下がる
ようだと、やがて新規参入企業や
代替品にやられてしまう可能性があります。

オーナーの取組がオーナーの報酬に、
はっきりと結びつくようなフィードバックシステムが、
よりコンビニのクオリティーをあげて
いくと思います。