ラグビー王国オールブラックスの国、ニュージーランドの新国旗案が国民投票で選出されました。
最終的にオールブラックスの黒を使った案が選ばれました。これを色の面積の多い順に、青黒白案としておきましょう。
しかし、国民投票で最も良い案として票を一番集めたのは、赤を使った案でした。青赤白案。
なぜこの案にならなかったのか不思議ですね。
それは「優先順位付投票制」という投票方式と、オールブラックスファンの影響力が深く関係しています。
この国民投票は、5つの最終候補を最も良いと思う案から1、2、3、4、5と順番をつけていく投票方式です。
最も良い案1とつけた票数の順位を色だけで表すと、
青赤白
青黒白
青黒白赤
黒白
黒白
の順番でした。
上位の2案が圧倒的ですが、わずかに青赤白がトップ。
次に、最下位の黒白に1とつけた人が2とつけた票を、新たに1とつけたことにして、上位4つで再計算した順位が、
青赤白
青黒白
青黒白赤
黒白
黒白(番外)
と順位変わらず。しかも1位の案が過半数を超えることができませんでした。そこでさらに、上位3案で再計算。
青黒白
青赤白
青黒白赤
黒白(番外)
黒白(番外)
ここではじめて僅差で青黒白が1位になります。まだ過半数に至らないので、さらに上位2案で再計算。
青黒白
青赤白
青黒白赤(番外)
黒白(番外)
黒白(番外)
僅差ながら、青黒白案が1位でかつ当然ながら過半数を超えました。
こういうプロセスを経て、青黒白案が最終的に選出されたわけです。
単なる1位を選ぶ方法であれば、青赤白案が選出されていました。
逆転した決め手は、2つの黒白案です。
ニュージーランド国民にとって、ラグビーのナショナルチーム、オールブラックスは国民的スター集団です。そのシンボルである黒を基調とした二つの黒白案を1位に選んだ国民は、少数派とはいえオールブラックス重視派でもあるわけです。彼らが、青黒白案と青赤白案のどちらを優先するかは明らかです。
「優先順位付投票制」は、オーストラリア代議院選挙、アイルランド大統領選挙などで採用されており、イギリスの市長選にも一部採用されています。
複合的な案を含んだ複数の候補の中から、ひとつだけ選びたいときに有効な方法ですね。
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