目白のマクドナルドが閉店しました。といっても随分前(10月31日)のことです。この日は都内だけでも10店舗以上が閉店しました。
数あるマクドナルドの中でも、目白店は小綺麗で抜群に居心地のよいマクドナルドだったので残念です。100円のコーヒーで何時間でも落ち着いて勉強できるスペース。そうなんです。近くの学習院の学生を含め、私のような輩がうようよいたのが閉店の原因ですねm(_ _;)m ゴメン!!
売上が低く、利益率が悪い店舗の閉店。
全店の売上が低迷しているマクドナルドの経営判断としては、論理的なように見えますが、本当によい判断なのでしょうか?
マクドナルドの不振は日本だけの問題ではありません。北米では2014年に過去10年で最低の業績水準にまで落ち込みました。2015年3月にはトップが交代。さまざまな手を打ち業績は回復基調にあるようです。たとえば朝食メニューの終日提供など。これは日本でも実現しましたね。ただ私は以前から、ハンバーガーを朝食時間帯に出せばいいのに、と思っていますが、、、
2015年10月の業績発表でCEOは、
マクドナルドのポジショニングを、現代的で進歩的なハンバーガー企業として再配置する
“While still in the early stages, we believe our turnaround plan is starting to generate the change needed to reposition McDonald’s as a modern, progressive burger company.”
McDonald Press Release
と発表しました。
つまり単純化すれば、こういうこと↓です。
しかしこのポジショニングマップでは、結局どのように変化すべきか、は考えようがありません。ここからさらに、現代的とは何か?進歩的とは何か?を抽出して、新たな軸を設定し、行動可能なポジショニングマップにする必要があります。
たとえば、健康、というキーワードで日本における主要なハンバーガーをプロットしました。
健康的な素材を使おうとすると、コストがアップします。コストは価格に転嫁されるので、健康的と価格にはおよそ正の相関があります。そのため赤い帯の中におおよそどのハンバーガーも入ることになります。
ここでマクドナルドが、現代的で進歩的なハンバーガーの要素のひとつが健康的だと考えて、より健康的なバーガーを目指すとすると、普通にやるとせいぜいモスバーガーのポジショニングに移動するだけです。モスバーガーの売上は、国内でマクドナルドの5分の1ですから、この市場を食い合ってもマクドナルドは売上規模を到底確保できません。
一方、規模の論理を最大限に活かせば、コストアップの価格転嫁を競合よりも圧倒的に少なくできる可能性がマクドナルドにはあります。国内売上規模がマクドナルドの10分の1以下のロッテリアが健康志向にリ・ポジショニング(図↓黄色の矢印)するのと、マクドナルドが健康志向にリ・ポジショニング(図↓の赤い矢印)するのではその傾きが違います。
マクドナルドが赤い矢印のリ・ポジショニングを実現するには、ワールドワイドのとてつもない企業努力が必要でしょう。現在現代的で進歩的なハンバーガーの象徴はShakeShackです。より現代的で進歩的なポジションを目指すマクドナルドは「健康的」という軸以外にも、さまざまな軸でリ・ポジショニングの戦略を検討しなければなりません。いずれの道も簡単ではないはずです。
「名前募集バーガー」とか小手先のPRでお茶をにごしている場合ではないのは明らかです。
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