コンビニでそのまま飲める炭酸水が普通に買えるようになりました。ちょっと前までは、サワーやハイボール用のアルコールを割るための炭酸水しか売っておらず、そのまま飲んでも水の美味しさを感じるような炭酸水ではありませんでした。

いまや「いろはすスパークリング」、「南アルプスの天然水スパークリング」など、ミネラルウォーターの有名ブランドをはじめ、各コンビニのPBが参入しそのまま飲める炭酸水は、飲料カテゴリーの一角を占めるようになりました。セブン-イレブンの「セブンプレミアム そのまま飲める炭酸水」などは、その典型的なネーミングですね。

一口に炭酸水といっても、天然の炭酸水をボトリングしたものもあれば、炭酸を付加したものもあります。コンビニで販売されているのは、ほとんどが炭酸を付加したものです。これはつまり、アルコールを割るための炭酸水のラベルをただ張り替えただけにほぼ等しい炭酸水です。水にこだわることで若干の差別化を図っていますが、お世辞にも飲んで美味しい炭酸水とはいえません。

ローソンストア100の「泡が細かい炭酸水」は、その壁を越えようとする意欲作です。泡を細かくすることで、喉越しのトゲトゲしさをかなり軽減しています。ではこの商品は、「泡を細かくする技術」があったから産まれたのでしょうか?

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出典:ローソンバリューライン

 

もちろんそういう言い方もできるでしょう。
しかし、ローソンがもともと泡を細かくする技術を開発していたとは考えにくい。現状の炭酸水に満足しない姿勢、顧客が求めている炭酸水の方向性の探求、それを解決するための技術の探索、それらがすべて三拍子揃ってはじめて「泡が細かい炭酸水」を産み出すスタートラインに立てます。誰かひとりのキーパーソンがすべてを持ち合わせていたのかもしれませんし、組織的にすべてを融合させる活動を行っていたのかもしれません。いずれにしても、三拍子揃うことが土壌として大事で、それぞれバラバラに活動していても「泡が細かい炭酸水」にはたどり着けないのです。

私売る人、あなた作る人。

ではダメなのです。
これが商品開発とマーケティングの基本です。